2011年10月1日 環境緑化新聞 第688号 より
『木を選ぶ・野田坂造園樹木事典』を語る 鼎談記事未掲載部分

(環境緑化新聞許可のもとに掲載)


造園樹木の市場拡大へ

二宮
先ほどカエデの話をしましたが、常緑・落葉を問わず、中低木に関心があり、アジア起源の植物は、世界的にとても関心が高いです。また、実が成るもの、花が咲くものは、鳥や虫を呼び、生きものの生息環境を広げることにもなるので、注目されています。
当然、チョウがいるということは、あまり好まれないイモムシもいるということになりますが、生きものが住まないような環境には、人も住みたくないと思いま す。ですから、人が住みたくなるガーデンや街づくりなど、明確な目的が原点にあって、そのためにどのような樹種を選べるかということだと思います。
また、日本で利用する場合は、酸性土壌で使えるかどうかも大きなポイントですが、ヨーロッパやアメリカ起源だと土が合わずに難しい場合もあります。
『野田坂本』は、日本起源の樹種が数多くあげられているので、その辺でも参考になるし、逆に近年急に利用されたコニファーなどについては、あまりページを割いておらず、この辺りにも野田坂さんのこだわりがあるのかなと感じました。

地域植生の攪乱に注意

二宮
遺伝子の話がありましたが、クヌギやコナラも東北と関東では異なるので、一緒にすると交雑します。日本では東京に九州のケヤキを持ってきたりしますが、海外の取り扱いはもっと厳しいです。
野村
復興松原の再生に、全国からマツの苗を送りたいという話も沢山ありますが、それも無理です。
枝吉
林業法の関係からもできませんね。
二宮
ニホンスイセンも絶対ダメ。これらを専門家がリスト化し、危険性があるものを除外しないと攪乱してしまいます。
枝吉
東京の深川でビオトープを行いましたが、地元の在来種を使用するということで、「植物選び」が大変でした。『野田坂本』はこうした時のチェックリストとしても重要ですね。
二宮
明治神宮の森は100年の計によって、人工的に作られた森ですが本当に素晴らしい。果たして震災復興計画は真摯に100年の計で考えられているのでしょうか。
サクラは震災復興の東北を象徴する木として『野田坂本』には教えられることが多いでしょう。

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