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第4回 植物画家 石川美枝子の作品

解説:邑田 仁 (東京大学大学院理学系研究科附属植物園 教授)

ボタニカルアーティスト ― 石川美枝子さん

ボタニー(植物学=botany)は実在の植物を研究対象とし、それについて明らかにしていく学問である。研究材料が生きた状態であれば理想的であるが、研究が広範なものになればなるほど、生きている植物を目の前にそろえることは困難になる。しかし、実物を乾燥した押し葉標本や、良質の描画・写真が得られれば、生きている植物の持つ情報の多くを読み取り、比較検討して研究を進めることが可能になる。従ってボタニカルアートは、botanicalという形容詞を冠する限り、研究や、それにかかわる情報伝達の目的で使用されることを第一の意義とするものであり、実在の植物の持つ情報を忠実に描写したものであることが必要である。

その一方でボタニカルアートはアートでもあるということを主張する。すなわち、人が植物を観察し、観察したものを描くという二段階の知的作業によって作品として完成される。この過程を経ると、作品はたいてい人間味を帯びてくる。しかし私は必ずしもこの人間味を好まない。上記のようにボタニカルアートの本質は実物に忠実なことである。形や色が正確であることはもちろんであるが、もし植物の本質のなかに華やかさや美しさがあるなら、本質に迫った絵にはそのようなものが自ずと備わってくるはずである。華やかさや美しさを過度に意識することは自然の持つ微妙なバランスをかえって損なってしまうだろう。

石川美枝子の作品がどのようなものであるかは一目見ればわかるのでここで敢えて批評をしない。ただ、以上のような見地から評価できる数少ないボタニカルアーティストであるとだけ記すことにしよう。

研究交流を通じて親しくなった英国の王立キュー植物園のサトイモ科研究者達と、同植物園のモノグラフシリーズにテンナンショウ属の特集を組むという企画をだいぶまえに立案した。ここ10年ほどの間に『カーチスのボタニカルマガジン』に発表されたテンナンショウ属の絵と記載はこのことも考慮したものである。その後石川さんに出会い、テンナンショウ属を描いてみませんかとお誘いしてみたものの、モノグラフの企画はいっこうに進展せず、言い出した責任を感じるばかりだった。昨年、石川さんの描いたヒメウラシマソウが16巻2号の表紙を飾り、日本のボタニカルアーティストの実力を示すことになったのは大きな収穫であり、私も少しは肩の荷が下りた気がする。

繰り返すが、ボタニカルアートは植物学の目的で使われてこそ真価を発揮するものである。石川さんが今後このような機会に恵まれ、ますます飛躍されることを期待している。

東京大学大学院理学系研究科附属植物園 教授・邑田 仁/Copyright: Murata Jin 2000

石川美枝子プロフィール


2000年
神代植物公園での
グループ展にて

武蔵野美術大学産業デザイン学科(商業デザイン専攻)卒業後、主に植物図鑑の描画に従事するほか、個展(桜原画展、1996年ほか)やグループ展(「花の声」三人展、1990年から隔年開催)などで作品発表、あるいは「植物画教室」などの講師を務める。この間、ハント植物学文書資料研究所主催の国際植物画展覧会出品(1995年)、英国シャーリー・シャーウッド・コレクション現代ボタニカルアート展出品(1998年)、英国王立キュー植物園 発行『Curtis's Botanical Magazine』(Vol.16、Part2、1999年)における作品掲載などを通して国際的な評価も高く、作品の一部は上記研究所やコレクション、あるいは東京都神代植物公園や花の美術館(千葉市)の収蔵品となっている。作品のテーマは、桜、針葉樹、ボルネオ熱帯雨林の植物。日本植物画倶楽部会員。描画を手がけた出版物は、『園芸大百科事典』(1980年、講談社)『原色樹木大図鑑』(1985年、北隆館)『落葉図鑑』(1992年、文一総合出版)『桜画集』(ポストカード、1998年、多摩森林科学園)ほか多数。

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