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薬草園におけるインタープリテーション

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2003年3月 日本植物園協会誌 第37号
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〔表題〕:

薬草園におけるインタープリテーション

〔発表者〕:

毛籐マリコ(賛助会員アボック社東京営業所企画営業室)
佐竹元吉(元国立衛研生薬部長)
関田節子(国立衛研筑波試験場長)

〔発表要旨〕:

薬用植物園の役割が今まさに変わろうとしている。近年のハーブブームから、薬用植物に対する関心は高く、インターネット、雑誌などを通じて関連情報が巷にあふれている。しかし中には専門家からみると、何の科学的根拠もない間違ったものも多く、これに頼ると一般市民が毒性の強い薬用植物を乱用する恐れもある。そんな中、薬用植物の利用と安全性の確保には、正しい知識に基づいてその取扱い方法他を解説する指導者(インタープリター)が必要となってくる。特に実植物を公開する園においては、このブームに踊らされる事なく、常に正しい基礎情報を提示するインタープリテーション(*)たる媒体(メディア)が必須となる。

2000年4月に(財)日本薬剤師研修センターおよび日本生薬学会により発足した「漢方薬・生薬認定薬剤師」認定制度がまさに上記対応策のひとつである。この制度は全国のあらゆる職域の薬剤師を対象にしており、2001年4月には認定第一号が誕生した。2002年4月5日現在、認定薬剤師総数は10409名にのぼり(**)、今や薬用植物の絶対的な医療需要と社会的要請を認識するべき時代であると感じる。これからは本格的なセルフメディケーション時代が到来するといわれ、一般の人々が健康維持のため漢方薬・生薬を選択する際に、専門家の適切なアドバイスを求めることが多くなる。同制度はそれに対応できる専門家を養成するためにスタートしたもので、今後ますます注目されていくのは確かであろう。

またこの研修カリキュラムの必須項目には「薬用植物園実習」がある。春秋どちらか1回、各園担当者の解説(インタープリテーション)のもとに行う、生薬と原植物の実習で、その成果をレポート提出することが義務付けられている。実習地となる全国薬科大学薬草園、厚生省国立医薬品食品衛生研究所薬用植物栽培試験場各場では随時その集合研修が行われている。このような状況を見ると薬草園も時代のニーズに合った役割が明確になったといえる。この制度を園活性化の良いチャンスとみなし、今が「21世紀の薬草園づくり」の新たなプランニングをする時期だと認識してみてはどうであろうか。セルフメディケーション時代の流れと需要に応えるために、同時に、園がより活性化することを目的として、「新たな薬用植物園でのインタープリテーション」はどうあるべきかを考え直してみたい。


*interpretation:原義は解説、通訳する事を意味し、主に現在は「自然解説活動」と訳されている。米国国立公園局の実務用語で、日本には環境省が10年前に理論付けして導入し、その普及を呼びかけている。

**:(財)日本薬剤師研修センターホームページより(http://www.jpec.or.jp/)


日本植物園協会第37回大会発表研究会(12)

薬草園におけるインタープリテーション

毛藤マリコ
佐竹元吉
関田節子

Interpretation at Medicinal Botanical Gardens

Mariko Moutou
Motoyoshi Satake
Setsuko Sekita


セルフメディケーション時代の到来

近年のハーブブームから、薬用植物に対する関心は高く、インターネット、雑誌などを通じて関連情報が巷にあふれている。しかし専門家からみると、中には何の科学的根拠もない間違ったものも多く、これに頼ると一般市民が毒性の強い薬用植物を乱用する恐れもある。そんな中、薬用植物の利用と安全性の確保には、正しい知識に基づいてその取扱い方法他を解説する指導者(インタープリター)が必要となる。2000年4月に(財)日本薬剤師研修センターおよび日本生薬学会により発足した「漢方薬・生薬認定薬剤師」認定制度がまさに上記対応策のひとつである。この制度は全国のあらゆる職域の薬剤師を対象にしており、2001年4月には認定第一号が誕生した。漢方薬・生薬認定薬剤師総数は2002年12月27日現在、522人である。(注1)。今や薬用植物の医療需要は絶対的なものであり、その社会的要請をも改めて認識すべきである。これから本格的なセルフメディケーション時代が到来するといわれ、一般の人々が健康維持のため漢方薬・生薬を選択する際に、専門家の適切なアドバイスを求めることが多くなる。同制度はそれに対応できる専門家を養成するためにスタートしたもので、今後ますます注目されていくのは確かであろう。


((注1):(財)日本薬剤師研修センターホームーページより(http://www.jpec.or.jp/))


来園者とニーズの多様化

同制度の研修カリキュラムの必須項目には「薬用植物園実習」がある。春秋どちらか1回、各園担当者の解説(インタープリテーション)のもとに行う、生薬と原植物の実習で、その成果をレポート提出することが義務付けられている。実習地となる全国薬科大学薬草園、厚生省国立医薬品食品衛生研究所薬用植物栽培試験場各場では随時その集合研修が行われている。セルフメディケーション時代において、園で学ぼうとする人は、従来の研究者、薬学生の範囲からさらに多様化し、それにともなって園へのニーズも分野を超えて広がっていくと予想される。このような状況に応えながら、園のさらなる活性化を図りたいものである。


「21世紀の薬草園づくり」

上記を受けて新たなプランニングを始めると仮定しよう。まずは前提として、特に実植物の公開園においては、常にブームに踊らされる事なく見本となる、個体の正しい基礎情報を提示するインタープリテーション*たる媒体(メディア)は必須で、これが一律に整備されていることが第一条件となるだろう。解説がなければ、多くの来園者には、「ただの植物」にしか映らない。第二段階としては各園がより活性化することを目的とした「薬草園でのインタープリテーション」はどうあるべきかを考え直してみたい。


インタープリテーションの目的

「この園がいかに重要かをもっと強くPRし、一般にも認識してもらうため」のインタープリテーションである。つまり薬用植物の有用性とともに、個体、そして生き物としての価値を実際に目にし、学ぶことのできる園の存在価値を社会的にもっと認めてもらうことが目的だと考えると良い、園を活性化させるツールと割り切れば、「どの情報をどのように編集し表現するか」つまり『伝え方・見せ方』にも力が入ってくるだろう。


インタープリテーションとは

「Interpretation」という語は普通「通訳」「通訳者」という意味で使われる。元は米国国立公園局の実務用語である。「国立公園」の発祥地アメリカにおいて1920年代から「公園内の自然を解説する活動」と、その「活動を担う人」を指す用語として登場した。日本では1988年(昭和63年)に、自然環境保全審議会自然公園部会の「自然公園の利用のあり方検討小委員会」で出された検討報告書で、この用語が大きくクローズアップされ、現在では「自然解説活動」「自然解説活動者」といった意味で使われるようになった。自然そのものを解説しようという話題では必ず登場し、キーワードとして環境省はその普及を呼びかけている。


主役を「魅せる」サイン

野外フィールドを対象としたインタープリテーションはその手法により次の4つに分類される。

  1. 人(インタープリター)によるもの
  2. 解説サインによるもの(無人)
  3. パンフレットなど、紙の印刷メディアによるもの(無人)
  4. ビジターセンター等の展示・映像・ITメディアによるもの

現状を踏まえた上で「21世紀の薬草園」をプランニングするのにあえて選ぶのは、(2)の野外解説サインである。いわゆる解説板によるインタープリテーションは、もっとも簡単で効果的な手法として、古くから取り組まれているもので、現物を目の前にしながら、より詳しい知識を得られるもっともオーソドックスな手法である。見る側特にリピーターにとっては、いつきても変わらず解説してくれるサインは頼もしい味方ではあるが、残念ながら展示物の単なる付属品程度の位置づけに終わってしまっている現状が、数多く見受けられる。ところが、サインは実はそのディレクションと演出次第で、展示物を何倍にも魅力的に見せてくれるのである。その点を強調しつつ、まずはこの問題から解決したいものである。


「まちの宝もの」を守るネイチャーサイン®

次に、現在の公共事業で求められているネイチャーサイン®という例を挙げてみる。今、各自治体のもっとも力を入れているのは「まちづくり」事業である。コンセプトは「地域活性を活かしてまちおこし」であり、その地域固有の歴史・伝統・文化等を活かし、現代の知恵や感覚をプラスしてオリジナリティの高い、オンリーワンの取り組みを進めている。自生植物を活用した「花の名所」、「ビオトープ計画」など、住人が四季を通じて楽める、緑の空間を増えてきている。このまちづくり運動で重要な役割を果たすインタープリター、つまり地域固有の空間やそれを構成する個体を「まちの宝もの」として意味づけるサインを、我々の立場から「ネイチャーサイン®」と位置づけ、こう呼んでいる。(ちなみにネイチャーサイン®という用語は、日本では1985年に(財)自然公園美化管理財団で用いたのが初めてといわれており、欧米での使用記録はまだない。)たとえば、その地域にある「巨樹・銘木」を再発見し、改めて保存樹、記念樹に指定して記念碑や解説サインをつける。住民が「まちの宝もの」として誇りにし、守る。そこはそのまちの歴史をたどる観光スポットともなり、管理、保全には地域住民があたるので、新たな雇用がうまれ、街の活性化につながる。ネイチャーサイン®のもつ役割は大きい。


もっと「生きた遺産」の意味づけを

このネイチャーサイン®の考え方、植物園にも取り入れられないだろうか。平成7年10月「生物多様性国家戦略」が決定したが、種の保全と持続可能な利用をする上で、基礎的な情報が著しく不足している。動植物の分布の全体像も把握しにくくなっており、保護すべき種のうちどれほどが日本の植物園に保有・管理されているのかあまり知られていないのが現状である。これからの園では、保持する一つ一つの個体の価値を、日本全体から、文化的、歴史的背景から位置づけ、その重要性を一般に情報公開していく必要がある。植物そのものを「個体遺産」として評価し、「生きた遺産」ともいえる存在を園主導型で解説することが、園自らのステータスを上げることにもつながるのではなかろうか。大切なのは一般に「価値を意味づけた上で公開し、社会が評価し、認識する」というプロセスである。

今回は「21世紀の薬草園づくり」への1案を示したにすぎないが、その実現のために、それぞれの園の強みを活かして、時代にニーズを引き出すインタープリテーションを作り出していって頂きたいと思う次第である。


参考文献

  1. 環境庁「インタープリテーション検討会報告書(自然解説活動普及のための提言)」平成4年9月
  2. (財)国立公園協会誌 『国立公園』 No.503号 二橋愛次郎: 自然解説事業「登別野外博物館」
  3. (財)国立公園協会誌 『国立公園』 No.498号 座談会:『インタープリテーションとは』

SUMMARY : As a model for botanical gardens in 21st century, the roles and functions of interpretation in the botanical gardens are considered.


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