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日本産ツバキ属 ~野生種の類型と品種の見分け方~


1996年1月 ABOC通信 No.23
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樹木知ってるつもり ❷ ツバキ

書いた人=豊田タケシ先生

日本産ツバキ属~野生種の類型と品種の見分け方~

紅葉がはじまると、もうサザンカの季節がやってきます。紅葉の燃える中あちこちの庭や植え込みに、サザンカの鮮やかな紅や、純白の花びらの姿が見え始め、秋の終わりを知らせてくれます。

そして師走から正月を迎え、ここ鎌倉辺りも暖かい日ざしはあっても吹く北風は冷たく、霜が降り氷が張って、冬の寒さは本格的です。

こんな日和の中にも、早咲きのツバキの花が紅色の花を覗かせ始め、私達に春の到来を告げ、もう春は来ていますよ、と語りかけているような気がします。

季節柄、今回はこのツバキをとりあげ、ツバキ属野生種の分類と園芸品種の系統について、ツバキの専門家や分類の先生方の学説に基づいてとりまとめてみました。


ツバキとは

まず、ツバキという語源について調べてみましょう。

植物名の語源の研究家深津先生によれば、貝原益軒説はツバキの葉が厚いので、アツバギと呼ばれていたものがアが略されて「ツバキ」になった。また、新井白石説によれば、ツバキの葉には光沢があるので、艶葉木が転じてツバキになったという説。さらに、朝鮮語学者曾占春説のトンバイキ(冬柏)が転化してツバキとなった、など多くの語源説があります。この中からこの朝鮮語学者の説を最も妥当としています。

しかし、万葉集や多くの書によれば、艶やかな葉の印象が強く出ているので、私は新井白石説の方が良いのではないかと思います。

なおツバキの漢字を中国では茶花を使い、日本では椿を使っていますが、中国語で椿というとチャンチンのことを指しており、椿は日本でつけられた当て字のようです。

このツバキというと、ツバキの中のヤブツバキを植物分類学的にみると、植物界の種子植物門―被子植物亜門―双子葉植物綱―雄弁花亜綱―オトギリソウ目―ツバキ科―ツバキ属―ツバキ節―ヤブツバキというようになります。

次に、このツバキ科の仲間をみると、図-1に示すように、ツバキ属のほかにヒサカキサザンカ、ナツツバキ、ヒメツバキ、モッコク、ナガエサカキ、サカキ、ヒサカキの7属があります。

それではその中のツバキ属を調べてみることにしましょう。

これは図-2、3、4に示したように、ツバキ属としてヤブツバキ、ユキツバキの2種をあげることができます。

図-2 ツバキ属の分類(国内・外国)
図-2 ツバキ属の分類(国内・外国)
図-1 ツバキ科と属
図-1 ツバキ科と属
図-3 ツバキ属の分布
図-3 ツバキ属の分布

ヤブツバキ

まず、ヤブツバキについてみますと、ヤブツバキは本州の青森県の夏泊り半島以南の太平洋側の海岸に近い地域の山地と、四国、九州の山地、日本海側秋田県男鹿半島以南の海岸に近い山地に分布し、朝鮮半島の南西部の一部にも分布しています。

  1. リンゴツバキ

    図-4に示したように、このヤブツバキの変種に果実がリンゴのように大きく、花がヤブツバキより小さい形態のリンゴツバキと呼ばれているものが屋久島に自生しています。

    このほか沖縄の一部と、四国の南西部、九州の日南海岸、五島列島の福江島などの一部にも自生していると言われています。

  2. ホウザンツバキ

    ヤブツバキの変種に花が小輪で、ヤブツバキより開き方が小さく、果実もヤブツバキとほぼ同様のもので、樹形が低木状のホウザンツバキが奄美大島~沖縄~台湾の中・北部までの山地に分布しています。

野生ツバキ類の分類(1)
図-4 野生ツバキ類の分類(1)
野生ツバキ類の分類(2)
図-5 野生ツバキ類の分類(2)
山ツバキ系ユキツバキ系の特徴
図-7 山ツバキ系ユキツバキ系の特徴

ユキツバキ

日本海側の福井県~秋田県田沢湖付近までの海抜300m~1300mの山地に自生する低木性のツバキです。

ヤブツバキの変種とする学説もありますが、生態、樹形、花形、などに大きな違いが見られることから、近頃では種として独立させたほうがよいとする学説が支持されているようです。

ヤブツバキとの違いをみますと、図-4、5に示すように、葉の形態では葉質は薄く、鋸歯は鋭く、葉脈は明瞭で、樹形は低木状で枝は柔軟で折れにくく、叢生しています。花の形態では、花色は桃色、暗紅色、白色など変化が多く、花系は黄色で一重の平咲きです。

ヤブツバキより高所に生えているのに寒さに弱く、小苗の間は夏と冬の乾燥を嫌うようです。ヤブツバキと比べ、挿し木の発根性がよく、強い刈り込みに耐え、花付きがよいなど庭木、鉢植えに適していて、ヤブツバキと大きな違いが見られます。

  1. ユキバタツバキ

    図-6 野生ツバキの垂直分布(富山県)
    図-6 野生ツバキの垂直分布(富山県)

    ヤブツバキの分布する地域で、ユキツバキの生育している地域の下部に、ユキツバキとヤブツバキの自然交雑によってできた中間型のツバキがあります。(図-6参照)

    この交雑種をユキバタツバキと呼んでいます。

    ユキバタツバキの特徴といえば、花は濃紅、紅、桃、淡桃、白など変化が多く、一重咲きの中輪で、花形はヤブツバキに近いもの、ユキツバキの血の濃いものなど、変化に富んでいます。さらに中間型という雑種もあって、葉柄の毛の多少によって、どちらの形質が強く出ているか、など、一つの目安になります。

    樹勢はヤブツバキより強健で、自然条件でも幅広い適応性を持っています。

サザンカ

日本の固有種で、四国の南西部と九州の全域、壱岐島に分布します。さらに、奄美大島~沖縄~西表島までの島々に、サザンカと区別がほとんど付かないオキナワサザンカが分布しています。

亜種として区分している人たちもいますが、オキナワサザンカと比べ、毛が短くて少ないとされてはいますが、明確の区分点がないので、ここではサザンカの中に含めることにしました。

サザンカの花は白色で、まれに淡桃色のものもある一重咲きで、平開散性の小、中輪花です。花弁は細く、雄ずいは淡黄色です。花期は10月下~12月の頃で、花には特有の微香があります。

葉は小型で上下面の主脈、葉脈、若枝には細毛が多くあります。樹形は立性で7~10mの小高木になります。

ヒメサザンカ

沖縄県と奄美大島の山地に自生する固有種です。

花は白色の一重咲きの極小輪の多花性で、短い花柄があります。雄ずいは小さい筒しべで白色をなし、子房には毛がありません。

花が散ってもがく苞は残り、子房を包み込みます。この花には梅に似た芳香があり、遠くからでも本種の存在を教えてくれます。花期は12月~2月で、葉は長楕円形の極小形をなし、樹形は立性で、樹高は7~8mの小高木です。

以上は日本に自生するツバキ属の分類について、図解しながら述べてきました。

次に、これらの野生種がどのような形でニホンに普及している園芸品種の誕生に関係したかなど、これまでに出ている資料を中心に述べてみることにしましょう。

ツバキの園芸品種

日本のツバキの園芸品種の作出は足利時代以降と考えられ、中国南部の明との貿易の拡大によって、日本のツバキと中国のツバキとの接触があったものと考えられています。

この時代に誕生した子房に毛のある園芸種ワビスケ群は、中国のサルウインツバキ、ピタールツバキなどの影響を受けたものと考えられています。

日本の野生種には子房に毛のあるものは一つもなく、ワビスケ群の野性もどこにも発見されていません。これまでにこの実証をした人もいませんが、中国産ツバキとの交流を足利時代に始まるとした証として、京都には、樹齢350~400年と推定されるワビスケ群が存在しているのです。

ツバキの園芸品種の誕生のナゾは明らかではありませんが、徳川時代になると、園芸品種は文献の上でにわかに多くなってきます。

徳川秀忠は殊の外、ツバキを愛好し、各地から名花を集め城内の花壇に植え、百椿集を出し、人々を驚かしました。

また松平忠晴は百椿図を完成し、その後に伊藤伊兵衛はツバキの画期的な書である地綿抄他多くの書を完成させ、ツバキの品種229種を紹介しました。

このようにしてツバキの品種の書は植木屋によって完成し、ツバキの品種作成の上にも大いに貢献をしました。江戸300年代の間に多くの椿書が刊行され、日本独自の品種、奇形品などツバキの変わりものが多く搭載されたようです。

明治になって、椿花集が伊藤小右エ門等によって出版されました。不完全ながらも花形によって分類した最初のツバキ品種の目録でありました。

明治の開国とともに、ツバキの中国からの輸入もあって、園芸品種作出の試みも進み、交通手段の発達とともに各地方との交流が盛んになり、多くの名花が消費地に集まり、その結果さらに多くの園芸品種の作出に繋がっていったようです。

第二次世界大戦が始まり、ツバキなどのような園芸品種への興味もなくなり、昔からの貴重な品種の多くが絶滅の危機にさらされました。

しかし、よくぞこれまで品種の多くが残ったということで、大戦後また品種の整理が計られ、回復し、近ごろでは、外国で開発された品種も加わって、500~1000種近い園芸品種が作り出されているということです。

園芸品種の作出

  1. 江戸ツバキ

    江戸ツバキの品種は、二代将軍秀忠が全国から集めたツバキの名花と、諸大名が江戸に造営した上・中・下の屋敷の作庭に自分の領土内から名椿を移植したツバキ類が、江戸ツバキの品種作出の基本になっています。

    江戸ツバキは大名・旗本の他、裕福な町人等が生み出した華やかな元禄文化によって生まれ出たものです。長い間に磨かれた鑑識眼によって選び抜かれ、長い年月に亘って取捨選択がくり返され、洗練され尽くした結果、今日に見る垢ぬけした絢爛豪華な姿(花色、花形)を完成させたのもです。

    江戸の名花の代表的なものを挙げてみますと、蝶千鳥、呼子鳥、関東京錦、白鵬、都鳥、不如帰、花富貴、春の台、限り、獅子頭、黒竜、多福弁天などがあります。

  2. 中部ツバキ

    中部ツバキは三河地方、鈴鹿山地、養老山系に産するツバキと関東・関西の諸地方から流入したツバキとの交雑が計られ、取捨選択が繰り返されて中部ツバキの原形が出来上がったものと考えられています。

    この地方は旧藩時代から茶道の盛んなところで、ツバキの嗜好も茶人好みの清楚で、格調高い一重咲き、椀咲きが主体になって独特の名花が数多く作り出されています。

    また、ツバキ愛好家が多いことも手伝って、新品種の作出と発見に異常な熱意と意欲が感じられ、数々の名花を世に出しています。

    中部地方の代表的な品種としては、紺ワビスケ、一子ワビスケ、出羽大輪、常満寺、太郎庵、粉雪、雪月花、伊勢大白、百路の日暮、春の舞など、この地方独特の名花が出ています。

  3. 京ツバキ

    京とは古都として全国の文化が集積したところで、その影響を受けて洗練され磨き抜かれた京都人は、表面的な花の美しさより内面的な情緒を求めました。

    落ち着いたゆかしさ、静けさを追求した鑑識眼によって選ばれたツバキは、見れば見る程、落ち着いた上品な気品が感じられる控えめな美しさのある一重の椿に、京ツバキの真の姿があるように思われます。

    でも、近ごろの傾向を見ますと、従来の京ツバキの伝統の流れとはイメージを異にする新しい形の名花が生まれてきており、時代の移り変わりが感じられます。

    京ツバキの代表的な名花を挙げて見ますと、菊月、奴、桃千鳥、加茂本阿弥、桃色ト伴、雛ワビスケ、糊こぼし、五色八重散椿、弓場絞り、諫早などがあります。

  4. 肥後ツバキ

    肥後のツバキは旧藩時代に藩の保護の基に細川家中の同好の市が集まって椿花連を結成し、母樹、父樹を導入し、厳格な規定の基に交配と淘汰を重ね、今日に見る独特な一重の花形を完成しました。

    花の形態を見ますと、花前面に雄ずいが散開する豪壮な、男性的なものです。

    肥後ツバキの代表的な名花を挙げて見ますと、不二、満月、肥後大関、日本錦、御国の誉、長楽、朝顔、匂吹雪、天香などがあります。

  5. 久留米ツバキ

    久留米地方は古くから園芸の盛んな土地柄で、ツツジ、ツバキが中心に栽培が行われていました。

    この久留米地方独特の花形はなく、九州一円から名花を集め、交雑を重ね、取捨選択をして、新品種の造成に務めました。

    それによって名花の作出が計られ、絞り初嵐、御所錦、義司、一休、吹上絞、福娘、暁山、正義などの名花を出しています。

  6. 裏日本のツバキ

    裏日本の地域には、ヤブツバキとユキツバキの2種が分布し、その2種の自然交雑による中間型のユキバタツバキも自生するという環境にも恵まれて、花形の多様さは無限で、裏日本独特の多くの園芸品種を生み出しています。

    江戸ツバキの洗練された都会美の娘とは違う、裏日本の素朴なひなびた愛らしさを備えた、田舎娘のような風情を持った名花を作り出しています。

    その代表的な品種には加賀八朔、一楽、西王母、利休雛鶴、万代、紅奴。祝の盃、越の光、宴、姫白雪、雪燈籠、麗山峰、富士の雪、越の吹雪などがあります。

野生種との繋がり

ツバキの場合も、サクラの里桜のように系統のはっきりしない多くの園芸品種があります。その中でこれまでに系統が明らかになったといわれているものを次に挙げてみました。(図-7参照)

  1. ヤブツバキ系の品種

    赤ワビスケ、玉之浦、宵おけさ、佐渡ワビスケ、天倫寺月光、小泰子、胡蝶ワビスケ、紅ワビスケ、黄泉銀花、一子ワビスケ、香紫、三原雲龍、東海、はじらい、銀葉椿、花仙山、塩見白花、門の内、四ヶ村、大山白、加賀八朔、祐閑寺名月、野々市、雛鶴、谷間の鶴、幸作絞、加賀小絞、西王母

  2. ユキツバキ

    阿賀の里、朝桜、荒磯、一楽、祝の盃、桂姫、北の洋、五知の娘、島千鳥、島の錦、寂光、雪宝山、田代、東洋の光、錦麒麟、日本髪、起の香、牡丹雪、松波、雪景色、雪小町、雪衣、陽春、小倉の里、白妙、太刀山、富樫白、初時雨、宝珠、本法寺、桃雀、雪明り、雪燈籠、加賀の鶴、八千代

  3. リンゴツバキ

    熊谷、紅唐子

  4. サザンカ

    寒椿、立寒椿、八重ワビスケ、緋乙女サザンカ、爪折笠、大和錦、星飛竜、乙女サザンカ、梅ヶ香、大錦、鳴海潟、酒中花、丁子車、田子の月、千代鶴、見驚、雪山、雪月花、東雲、富士の峰、二重弁天、立田川、紫雲台、花大臣、桃園錦、七福神、金花山、昭和の栄、三頭咲、紅鶴、根岸紅、三国紅、入日の海、月の笠、蝶の遊び、大正錦、花園錦、御美衣、望の汐、明石潟、犬張子、花自慢、快童丸、舞の袖、和合神、手向山、近江衣、京錦、銀竜、鎌倉絞、三段花、田毎の月などです。

    このなかにはツバキの秋咲き種との雑種であるハルサザンカの系統も含まれています。

サザンカ
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ユキツバキ
ユキツバキ
ヤブツバキ
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