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植物と人間の共存の術を求め続けるエコロジスト社長

1984年2月号 デルファイ誌
1984年2月号 デルファイ誌

一八七四年頃、医師伊藤圭介はアメリカ人モーレからある種子を贈られた。伊藤はその種子を自邸の庭に植えて、苗木をつくった。百十年たった今、わたしたちは大成したその木を東京の新宿御苑で見ることができる。

ユリノキ―それが木の名である。新宿御苑の真ん中に、三本のユリノキが聳えている。樹高は三十九メートル。遠目には一本の大木に見える。その姿はなかなか雄大である。

そのユリノキがある男の人生を変えた。

「今から十年ほど前でしたね、その頃、僕は編集プロダクションをやっていて、当時ブームだったボウリングのを雑誌を請け負っていたんです。ところが廃刊になってしまいまして、なにしろおんぶにだっこで仕事をしていたものですから、仕事がなくなると同時に時間がとてもできるようになったわけです。

そのときに、たまたまユリノキという木の植栽分布状況を調べたいという話があったんです。」

それがユリノキとの出会いだった。そのとき、毛藤さんはユリノキを知らなかったのみならず、植物への関心もなかったという。

「一九七三年の晩冬のことでした。ある人のすすめで、新宿御苑でユリノキを見たときひと目でその姿に圧倒され、魅せられたんです。寒風の中で聳え立つユリノキの雄大な姿は、子どもの頃の思い出にある樹影を彷彿とさせましたね。」


ユリノキとの出会いが人生を変えた

ユリノキ。北米産のこの木は、モクレン科に属し、わが国では一般にハンテンボクと呼ばれる。葉の形がちょうど袢纏に似ているからである。葉先がないその形はユニークだ。学名はリリオデンドロン・チューリッピフェラといい、「百合の樹でチューリップの花形をもった」という意味である。その名のとおり、高さ七センチに及ぶチューリップによく似た花をつける。英名ではチューリップトゥリーをいい、原産地のアメリカではイエローポプラーで、単にポプラーと愛称するという。ポプラーのもとの意味は、ピープル(人民)で、いかにもアメリカにふさわしい名称だ。

その時から毛藤さんは、ユリノキにのめり込んでゆく。

「ユリノキの林があるというので、岩手県に行ったり、大学の地質学教室を訪ねてユリノキの化石を見せてもらったり、大学の先生の話を聞いているうちに、アメリカに残されているという世界で唯一のユリノキの原生林を自分の目で確かめたいと思ったんです。アメリカの開拓の過程で、インディアンが滅ぼされるとともに、ユリノキの原生林は根こそぎ倒されてしまって、今ではナンターラ国立公園の中のジョイス・ギルマーの森にしかないんです。アパラチア山脈の回りを探し回って、ようやく見つけることができました。これまでに、私が見たどんなユリノキよりも立派でしたね。」

毛藤圀彦。四十歳。株式会社アボック社代表取締役である。前にも触れたが、それまでの毛藤さんの人生にユリノキはもちろん植物も関係はなかった。大学の貿易科をでると、編集プロダクションに入って、PR誌とか広告ものなどを手がけて、二十六歳で独立する。そこで話は、冒頭のボウリング雑誌につながるわけだ。

「各地でいろいろのユリノキを見ている内に、遠くからパッと見ただけでユリノキだけはわかるようになったんですよ。電車などで通り過ぎてアッと見ても、『あれ、ユリノキだ!』と次の駅で降りて、トコトコと見に行くんですよ。そうすると、確かにユリノキなんですね、これは非常に素朴な喜びですよ。それから僕は植物の名前に対して興味を持ったんですよ。誰でもそうですけど、自分が名前を知って初めて、だんだん親しみというものが湧いてきますからね。それでは、他の木はどうだろうと見たら、これがみんな同じに見えるんですよね。」


まず正確な情報を、とラベルづくりから

どの木もみんな同じに見える―この思いが、毛藤さんに刺激を与える。

「木をいろいろ調べると、それぞれストーリーがあるんですね。したがって、完璧に名前を覚えられなければ、おもしろくない。名前ということで、社会的に反映して考えると、それを教えてくれる人が回りにいないですよ。考えてみると、行き着く先というのは、ラベルです。ラベルを見れば、ひと目でわかるわけですから、興味をもっている人はね。見て歩くとラベルというのはほとんど付いていない、特定の植物園ぐらいしか付いていないですね。『よし、ラベル作っちゃおう ちょっといいのを』ってね。」

かくて、毛藤さんはラベル作りに手を染めることになる。ラベルといっても、当時の毛藤さんはズブの素人とかわりない。当然、ラベル作りは難航する。

「結局、業界のことも何も知らないから、役所にどうやって納めるかもわかりませんでした。例えば、東京都ではきまりがあって、こういうサイズにラベルがなっているということも知らないで作ってしまったんですから。『お宅でつくったのは規格外ですからダメです』って言われれば、いくら買ってくれと言っても、いい物だとわかっても、入らないわけですよね。そんなことも、だんだんわかってきた。最初、三年ぐらいはまったく食えませんでしたね。今は、ラベルだけで、一億二千万円ぐらいの売上げがあり、当社で大きなシェアを占めています。」

木の名前を知りたいという思いが、毛藤さんにラベルを作らせたわけだが、ラベルを作っていくうちに、また新たな気持ちがめばえてきた。

「ラベルを通じて植物と関わっていったわけですが、そのうちに植物という生きものと市民を結ぶ情報というところでやっていきたいと思うようになったんです。そこで、植物関係の出版を始めました。その代表的なものは『小笠原植物図譜』です。」


植物との共存を求め続けて

一九七五年に設立されたアボック社はこうして事業を拡大していった。

現在、スタッフは十八名。ラベル事業を包括した造園修景部門(標識・案内板・造形物)、出版編集部門・電算処理部門、海外事業部門へと事業を展開している。

こうしたアボック社の事業に一貫しているのは、編集者の視点であろう。

「編集稼業というのはなかなか足を洗えないで、ズルズルいくわけですよね。まあ、いまだにやっているわけですけど。そんなわけで、編集者的な視点でものを見てしまう。例えばラベルにしてもアボック社でやる以前からあったわけですが、それは土建屋さんが片手間にエナメルか何かで書いていたわけですね。アボック社の場合はどうやって見せるかというところからスタートするわけです。ラベルの俯角・仰角・視認性・文字の大きさ、そして記入する内容にしても学名・産地などいろいろな要素があるんです。」

受託出版物で『樹の本』というものがあるが、それは木を“樹形”(シルエット)と“葉形”で分類するというユニークな視点でまとめているが、これなどもアボック社ならではの仕事といえる。

出版の契機となった“市民と植物を結ぶ情報”という発想も、やはり編集者ならではのものかもしれない。植物の情報という点で、アボック社の事業は更に深化している。

「植物のデーターをピシッとして、資料としてもっていこうと、五年くらい前から考えまして、植物資料室である所で作って、とりあえず、文献の基本的データーだけコンピューターに入力しているんです。基本的なデータは、これから何やるにしても大事だし、うそっぱちなことは世の中に絶対出しちゃいかんという思いがありまして、こういうことをやり始めています。今は文献情報が中心ですが、そのうちにいろいろな栽培情報、植物園情報が可能になるでしょう、海外事業部門というのも、都市と緑の観点から考えても、まだまだ外国の情報に見習うということは多いので、そういう情報面からルートをつくっています。」

アボック社は神奈川県鎌倉市にある。大船駅から車で五分ほど、附近でも珍しくなったわらぶき屋根の大きな農家を借りて事務所にしている。いかにもエコロジスト集団にふさわしい仕事場だ。

「東京のマンションの中で緑を考えていてもどだい無理があるから、どこか田舎に引っ込んでやろうということでね。」

最後にアボック社のパンフレットから彼らの言葉を引用しよう。そこには、アボック社の姿勢が簡潔な形で打ち出されている。

“アボック社はエコロジストの集団です 私たちは仕事を通して 植物とのふれあいを求めます 環境とのバランスを考えます 共存する術を探します”

エコロジカルな理想は、事業と結びついてひとつの成功を収めた。植物とのより深く自然な共存の術を求めて、さらなる事業展開を語る毛藤さんの言葉は、終始熱っぽかった。


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