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作家の立松和平さん『環境に対する私の視点』


1994年7月 ABOC通信 No.20

ABOC創立20周年記念講演 作家の立松和平さん
『環境に対する私の視点』

作家、フィールドワーカーとしてご活躍中の立松和平さんは、当社ともご縁がある方でお祝いにご講演をいただきました。
数日前、ペルーのアンデス山からお帰りになったばかりで、真っ黒に日焼けしたたくましいお顔、あの独特な口調で、心にしみるように語りかけてくださいました。フィールドトークは約1時間に及びました。


森とか植物とか、僕のフィールドの中で感じたことを話します。

台風で倒れる弱い森

1ヶ月ほど前になりますが、大分県に行ってきました。3年前の台風19号で物凄い被害を受けたところなんです。ちょっと凄い被害でしてね。今まで育ったスギの木、ちょうど60~80年位の期待すべき時に台風でやられて、今でも後遺症が残っているんです。片付けられないんです。それで、「この倒れている風倒木も何とかなるんじゃないですか」と素朴な質問を僕はしたんですけど、そうしたら、「どうしても、砂とか石とかが入っていたりして、危なくてチェーンソウも使えない」そうなんです。倒れていても、どうにもなんない状況なんですが、それでもコツコツ片付けていって、さて、これからどうしようかっていう状況なんですね。

これは日本の自然を語る場合、私にとって象徴的なことなんです。

天然の森の社会学

いま、森、山というのは、とても難しい時期に来てると思うんですね。

僕は小さい子供とよく山に行きます。けっこう都心に住んでいるんですが、近くに白金自然公園というのがあるんです。いい森なんです。

そこに入ったら、草一本、虫一匹とってはいけないんです。

森を見ようよ、といって子供と話すんです。

何が生えているのか。まず、下にコケが生えていますね、コケの上には小さな草が生えています。コケの下には地中の世界がある、モグラとかミミズとかの世界です。また、水中には微生物の世界があります。実に多種多様の生物の世界が広がっているんです。我々の目にふれないところでも、もう天文学的数字の生物が棲んでいる。いろんな多種多様の植物が生えているのが天然の森です。

そして、その天然の森には高さを違えて多種多様の植物が共存しているのですね。森といっても一様な条件ではないので、日が当たるところ、当たらないところ、乾いたところ、風が吹くところなど、さまざまな条件があって、そういうところにあった植物が棲んでいるんです。

大きい力の強い木があって、それはどんどん大きくなる。そうすると影が出来ますね。影ができれば、また、条件が変わる。その影のおかげで、太陽を好む植物は減ってしまう。でも、そのかわりに隠下植物、シダとかが生えてくる。それだって、いろんな条件があって、「森の社会学」というんですか、そうやって、森というのは多種多様の植物が増えていく空間なんですね。

そして、多種多様であれば、そこに虫が棲むことができる。虫がいれば、虫を食べる虫がいたり、鳥がいたりするわけです。また川が流れていれば、川の中でも植物連鎖の世界が広がっていく。虫がいれば、また同じように虫が食べたり魚が食べたり、そうやって、生命のマンダラがずっと広がっていくわけですね。それが、天然の森であります。

その天然の森はとてもきれいです。特に広葉樹は、春になれば美しい若葉を出し、緑が濃くなって夏を迎えます。これも美しい緑です。夏を過ぎると、秋の紅葉になる。そして、葉っぱが落ちて肥やしになって、冬を越して、また、葉っぱを出します。同じような循環をしています。

ところが、そういう広葉樹はあまり金儲けできないし、あんなの売れない、スギの木がいいや、ということで、徹底して天然木を伐採して、スギを植林してきました。本当に日本のいたるところでこれをやってきました。でも、それが本当にいいことだったのかと、いま、非常に問題になっています。難しい問題です。

人口の森が導く諸問題

兵庫県の生野という町にいる僕の知り合いが、水源地の町なのに水がないというのです。

どうして水がないのか。よく見たら、黒木ばっかりだったんです。その方は実は林業者で、木をずっと植えてきた人なんです。朝、歯を磨いて、家の庭を見て、「私もよく働いたな、真っ黒だな」と思い、一瞬、ゾッとしたそうです。

水源地の山に黒木、つまり、ヒノキやスギの木ばかりを植えてきたら、どういうことになるのか。

まず、水が出ない、涌かない。本当にいい水源地に行くと広葉樹の水源地ですね。水ゴケがスポンジのようになって、雨がたくさん降れば余分な水を流さない、ところが乾いてくると少しずつチョロチョロ水を流します。いつも流れがある、それが水源地です。ところが、どこもかしこも切ってしまったんですよ。

この間、少し調べたら、東京の多摩川の水源地はとてもいいんです。営林署ではなくて、都の水道局の管理なんですね。重要な川の場合、僕はそれがいいと思うんです。

『適地適木』が大切

スギというのも生き物であり、命がある。どんな生き物にもそれぞれにふさわしい環境が必要です。スギにも『適地適木』という考えを取り入れるべきです。スギは谷地に生える、ウェットなところに生えるものです。ところが植林政策によって山のてっぺんまでスギです。これは生態学的にいいはずがありません。

草を刈って、枝とりをして、間伐して、徹底してスギを育てる。スギしか生えない空間、スギ以外に何もない空間。天然の森とは対極的です、鳥もいない。

スギの木の葉は土壌の酸性を招くらしい。つまり、土壌を非常に弱くするわけです。台風で木が倒れるなんて、天然の森ではないことです。

モミジはきれいな木ですね。岩の崖に生え、根っこがネットを張るように崖くずれを防いでくれる。これも適地適木です。

ヤマザクラは山に生えていると本当にきれいです。いろいろな木を植えたほうがかえって経済性があるのではないかと思います。

四万十川でも鮎が激減しています。昔は踏まずに川を歩く方がたいへんだったそうです。乱獲、稚魚の捕獲なども原因とされていますが、水がないのです。山から広葉樹がなくなってしまって、水がない。

山から水がなくなると、それは川に影響を与えます。川に影響があるということは海に対してもあることで、漁業にも影響がある。林業の問題は町全体の問題にも広がるんです。

花粉はスギの涙か?

おもしろい話を聞いたので紹介します。

スギ花粉症のことです。スギはふさわしいところでは、いきいきと育ちます。屋久杉がそうです。樹齢八千年とも六千年ともいわれていますが、もちろん、地球上の生命体で最高のものでしょう。しかし、最近は見学者が多く、土が踏まれて弱っているそうです。

そういう可能性をもっているスギですが、スギだけの空間で弱って苦しんでいるんです。スギも老化が早まって、そして、自分たちの死期が近づけば、自分たちの子孫、種族の繁栄が気になる、だから、花粉をたくさん出すそうです。

科学者はそんなことはいわないでしょうが、とっても説得力がありました。『適地適木』、難しいことかもしれません。

森というのは我々に限りない恵を与えてくれる生き物なんです。


祝辞 その1
経済や社会を変えていく原動力に…
鎌倉市長 竹内謙さん

創立20周年、たいへんおめでとうございます。

木にラベルをはる、38万件の地名事典をつくるなど、まるで社会奉仕のような企業が成り立つのだろうかと驚いております。

しかし、お金が動くということにあまりにも重点を置き過ぎていた現代の経済・社会の中で、こうした企業活動、あるいは地域に密着した社会活動は最先端のものといえるでしょう。

また、これまでの経済・社会の質を変える原動力になるであろうと考えております。

祝辞 その2
培った知的財産を大切に…
松永特許事務所長 松永宣行さん

20周年を迎えられましたことを心からお祝い申し上げます。

最初に毛藤さんにお会いした約20年前、私は自動車とか工作機械など、まさに環境破壊の先鞭をきっているものに関わっておりました。ですから、毛藤さんにお会いして、植物などの話を聞くと工場とか建設現場から突然ジャングルに引き込まれるような思いがして、そのギャップがとても大きかったと記憶しています。

これまで培ってこられた知的財産を大切にして、これからもご発展されるよう祈っております。

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立松和平氏より


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