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人間の手で植えた樹は最後まで面倒をみるべきです。

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1996年1月 ABOC通信 No.23
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樹木医対談 豊田武司 先生(アボック社植物編集デスク)に聞く / Tree Doctor Interview

人間の手で植えた樹は最後まで面倒をみるべきです。

12月15日当社会議室にて

昨年の8月27日樹木医の第一次試験が行われてから12月15日に東京都庁において樹木医の認定免状を頂くまで約4ヶ月間、長い研修審査の日々もやっと終わりました。豊田先生が認定を頂いたホットなその日当社毛藤社長との対談を企画しました。


針金が木に食いこむ

毛藤 樹木医の合格おめでとうございます。

豊田 やあなんとか通していただきました。

毛藤 今年で樹木医の先生は全国で何名になったのでしょう。

豊田 今回合格した人を合わせますと、確か395名程度と聞いています。社長はヨーロッパの国をあちこち歩かれて、以前から樹木医の制度や必要性を述べておりましたが。

毛藤 もう随分前になりますので、その辺のことは今日の所はまあさておいて、私のようにこのような仕事をしておりますと、樹木の生理とか生態とかいうものには、非常に興味を持つようになります。

当社はラベルを作っているわけですが、木の前に立てる時はいいのですが、木に縛りつける設置方法をとる時、針金が木に食いこんでいくわけですよ、これではまずいなあと思いました。素人の考えで、これでは人間の首をしめているようなものではないかと、すぐ思ったわけです。

木が若いときは成長が旺盛ですから、針金が食い込んで死んでしまいます。ラベルをつけるという商売で、木が枯れてしまってはこれは偉いことになる。と思ったのです。

これではいかん、とスプリングというものを考え出しました。

豊田 成程ねえ…。

毛藤 これは、実はフランスである木を見たときのことです。プレートが針金でついている、その針金がくるくると巻いてある。これを見て驚きましたね。

スプリングがなくても針金を巻けばスプリングの役割をするわけです。これを見た時、スプリングを作った人はきっと一日かけて針金を巻いたんだろうと思いました。それ程の思いを込めてラベルを作っている、この発想が引き金となってスプリング方式が出てきたわけです。

スプリングも固すぎても木の中にのめり込むし、緩すぎてもずり落ちるのではと、いろいろと実験してみました。

豊田 スプリング方式も、大したことではないといっても、最初は大変なんですね。

毛藤 20年前たくさんの失敗例を見ていて、これはなんとかしなくては、と樹木の苦しみを目の当たりに見て、樹木との葛藤を経験しました。僕の中の樹木学はこれが出発点だったわけです。

豊田 ラベルの仕事をしていると、木を大事にし、木の気持ちが分からないとだめですよね。そういうアボック社としての仕事柄、樹木の生理・生態などの植物についても社長は詳しく、さらに樹木類の体調までも分かってくれるような樹木医になってほしいと言っていましたね。

秩父で見たシダレザクラ

毛藤 まあ、最初に自前の宣伝になってしまいましたが、研修が長丁場で、しかも、連日の試験攻め、大変でしたね。どういうきっかけで樹木医になろうと思いましたか。

豊田 樹木医なんてとてもと、私はあまりなりたいという気は持っていなかったんです。それはこれまでに時々出くわしていた外科手術をした木をみて痛々しく思っていました。

コンクリートで樹幹の空洞を埋めたり、木の半分以上を鉄板で覆いをしたり、木の上に小屋掛けをしたりした光景を見ていましたので、ちょっと抵抗を感じていました。木を長生きさせることは重要な使命ではありますが、そのためにあんなことまでしないで、もっと他のよい方法はないものかと。あまりにも異様な姿で残しておくということはちょっと耐えられませんね。

昨年の4月秩父へ行ってある寺のシダレザクラを見た時のことです。地元の桜の研究家の守屋さんのご案内を頂きました。そこの桜にも樹木医の方が樹勢回復の処置を構じていました。

桜の大御所佐野藤右衛門先生がその樹勢回復の処置を見て、これでは回復の処置をしないほうがかえって良い、と大変立腹して帰られた。ということを聞きました。このようなことを聞いたりしますと、余計樹木医になりたいという気がそがれてしまいました。

樹木医はそれだけ責任のある仕事です。しかし、その反面、そのような非難を受けない的確な診断と処置ができる樹木医にならなくては、という気力も湧いてきました。

そこで、樹木医の受験願書を出す前に過去に自分が処置した樹木がどのようになっているのかのチェックをしていないことを思い、もし枯れたり、息も絶え絶えになっているようでは、樹木医になろうとする資格なんてとてもない。

筑波の森林総合研究所のオオカンザクラ、トチノキ、サルスベリ、ヨーロッパイチイなど、そっと見に行きました。皆元気な姿で大きくなっていました。

青梅市の天然記念物の桑の木の移植も手掛けました。この方も調べに行きましたところ、移植は6年前に行われ、この桑も元気に生きていました。

このような過去に行った処置が、なんとか良い結果になっておりましたので、ようし受験してみようという気になったのです。

毛藤 そうすると、樹木医を受ける前からその役割を果たしていたんですね。

研修で新たに発見したことはありましたか。

物を言わない木

豊田 樹木の樹勢が悪くなったり、枯れたりする原因が、今度の研修でどうすれば具体的に手がかりが掴めるか、という手法を学んだことです。

腐朽の元になっている菌類の侵入があったり、枯れに繋がる虫の害に遭っていたりで、大いに勉強になりました。

毛藤 樹木医とは何か、簡単に説明して頂けませんか。

豊田 物を言わない木が苦しみと痛みを訴えていることが分かるようになることだと思います。それには、木と長い付き合いが必要です。所謂経験です。

毛藤 老衰化している木に対しては。

豊田 天然記念物に指定されているような木の殆どが年をとった老木ですから、何処かしこに持病を持っています。年取った人間と同じですから、診察をして何処が具合が悪いか、聞き出すための問診や検診をする、これが樹木医の仕事であると思います。

この問診や検診が間違いなくできるよになれば、最高の樹木医であると思います。

はるか昔から生きてきた木が現在は目立った成長こそしないまでも、長生きしていけるよう延命策を構じ、次代の人々が接することができるようにする。

毛藤 一番大切なことです。

豊田 昔から木を神聖化して祠を造り祭る、このようなことはしてきましたが、積極的に木を診断し、外科手術などをして延命策を構じるようなことはしていなかったですね。

毛藤 先生が東京営林局において、関わってこられた森林施業の究極の目標は、木を単位面積当たりの収量を多くして伐採し、利用するということで、造林学はそのための学問だったと思いますが。

豊田 うん……まあ。そこから発想を変えて木を単木的にとらえて、天然記念物のような老木を延命させる、世の中の人々の要請に応えて、その樹の延命策を構じる、というような世の中に変わってきました。

そのような専門的な樹木医を必要とする時代になってきたんですね。

毛藤 何かの記念に植えた木は、その人にとっては自分の心の中の天然記念物であるといえます。樹木医の必要性が出てきた背景にはそういう個人の関わりまで含め、都市の中に植えられている樹木を大事に育てよう、という時代の要請があるのだと思います。

特に人間よりも長い間生きてきた大きな樹を都市緑化の核とするために、健全に生育させていく技術が必要とされています。

樹木医の役割

豊田 都市の中の緑が減少している中で、各自治体が緑を保護するために助成金まで出して、住民の財産として残していこうとしています。それらを推進するのも樹木医の役割ではないかと思います。

毛藤 時代的にみんなが期待している制度であり、樹木医がなんでもできるわけではないと思いますが、当面これだけは実行していきたいと思っていることは。

豊田 樹木の問診や検診をして、まずどうしてこのような状態になったのかを丁寧に診断し、まず原因を究明し、早期に樹木の健康状態に合わせて治療すべきかと思います。

毛藤 例えば、木が作ったムロに対しての治療の方法や、剪定の方法においても、どういう風にすべきかで、いろいろ議論があるようですが、その辺は…。

豊田 木を剪定した場合、傷口から腐朽菌が入らないようにするとか、巻き込みを促進させるための薬剤を塗布するとか、の処置は今までもやってきてはいますが、これからはさらに徹底して各木に対して行う必要があると思います。

昔はそれ程まで神経質にならなくても、腐れはそれ程進行しなかったのですが、近頃は大気汚染の進行、人の入り込みによる踏圧の強化、そして周辺の環境悪化等による樹勢の低下が木の健康状態を極度に悪くしていると考えます。

毛藤 空洞化した木は埋め込みをしないと駄目ですか。

豊田 日本では外科手術とか空洞木の埋め込みは元来余りやられていなかった事であり、歴史的に見て新しい分野に入ります。

毛藤 先生は外科手術に対して懐疑的なんでしょうか。

豊田 空洞化した樹木は全てを填充する必要はないと考えます。それより樹勢の回復をまず考え、樹木の生育環境の改善がまず行わなくてはならない処置であると思います。

その後の原因を良く調べ、ナラタケ菌による場合は腐朽部を除去し、その後を填充し密封する事になります。

このように原因を確実に掴んでから填充する必要がある場合のみに限定したいものです。填充の材料もウレタンなどが使われてきて、以前とは大分変わってきました。

外科手術の問題点

毛藤 医者でも内科の先生と、外科の先生がいますが、樹木医の中でも治療方法をどちらにするか議論が分かれるのではないですか…。

豊田 木が健康を害して糾状を訴えている時、その原因を適確に掴むことがまず大事なことです。木の泣き言が理解できれば、議論など闘わす余地等はないはずです。

毛藤 そうするとまず原因の掴み方が問題なんですね。

豊田 これまでの外科手術を行ったのをとやかくいう資格はありませんが、木を鉄板で覆ったり、木の上を小屋掛けをして囲ったものを見ると、何か不自然で異様な感じがしてきて、痛々しさすら感じます。こんな外科手術はしたくないですね。

毛藤 日本には空洞化した木に詰め物をするという施術は以前はなかったと思います。どうなんでしょう。

豊田 1970年代になって、アメリカのシャーゴという人が提唱したCODIT説の登場で外科手術は大きな影響をうけ施術の方法も変わってきています。

毛藤 どのような変わり方ですか。

豊田 樹木は生き物であり、環境も変化することを考えて、調査や観察及び再手術がしやすい方法に変わってきた事です。樹木の環境改善を含めた活力増進の手段をとること。樹木の防御機構を破壊しないことがとりあげられ、木が生き物であることがやっと認められたというところです。施術の記録を残し、公開できるようなことが求められています。

毛藤 ヨーロッパでは木を非常に大切にし、植えた木は切らないという思想が定着しているようですが。

豊田 私は外国のことは良く知りませんが、東京の郊外に当たる練馬区の名木百選の委員をやっていた時、区内をくまなく歩きましたが、巨木類が少なくてがっかりしました。郊外で、しかも昔は農家の多いところでしたから、もっと残っていてもいいのではないかと…。

人間の手で植えた樹は、最後まで面倒をみるべきです。

毛藤 自分が子供の頃に見た木々の記憶が故郷などへ帰って見て、何十年経った今もその木が残っていると、すごく感激します。

豊田 そうですよ、でも反対に私の所のように、故郷のあちこちに見られたクスノキやクロマツの巨木が全てなくなってると、ほんとうに寂しいものです。

毛藤 小学校がなくなっても、その時遊んだ木が今でも残っていると、感激します。人間が植えた木は人の手で極力残すようにして欲しいし、これを支えるのが樹木医の役割ではないかと思いますよ。

豊田 そうですね、天然記念物のような貴重な樹木以外に、有名でなくともせめて思い出や、いわれのある木はいつまでも命のある限り残して欲しいと思います。

木のムロの中

毛藤 話は戻りますが、木のムロの中に祠がある木を時々見かけますが、その木に風格と尊厳を感じます。そういう木を見ますと、簡単にムロを埋めないで欲しいと、常に思っています。

豊田 ムロがあっても、堂々と元気良く生きている巨木をよく見かけます。何でも埋めれば良いというのはどうかと思います。填充というのは空気を遮断して、虫や菌類を寄せ付けないようにするのですから、完全に木に防御体制ができていれば、填充はやらないほうが良いわけですから。

毛藤 病んでいても木がもっている防御力とでもいうエネルギーは蓄えていると思います。その治そうとする力、いわゆる自然の治癒力という奴ですよ、これを引き出すのがポイントではないかと思います。

それは日本的な考え方と、ヨーロッパ的な考え方があると僕は思います。

怪我をした時、包帯をする人としない人がいますが、僕のお袋は包丁で手を切ったとき、外部消毒だけで包帯なんかしないんですよ、その方が早く治るといって…。

木の場合にもこれと同じで、自分で治す力を持っていると思います。ですから、全て画一的な方法でやるのはどうかと思います。むしろ自然に近いやり方のほうが早く治る場合もあると思います。この辺り大変本質的だと思うのですが。

豊田 私もその意見には賛成です。

毛藤 日本人は樹聖というか、昔から木に対する畏敬の心を持っていますよ。西洋に学ぶべきことは多いと思いますが、日本ならではの治療法というものもあると考えています。

木の心を聞く

豊田 木を見るということは、本や、書き物からではなく、実際に自分の目でよく見ることだと思います。

毛藤 自然の力は、人間の科学では解明しきれないし、そうしたものを寿命の長い木に託した、昔の人の知恵には奥深いものがあったと思いますよ。治療の前や後には土着的な厳粛な儀式が行われ、しめ縄やお払いをする慣習が残されています。樹木医として、医者であると同時に感傷という字を大切にして欲しいと思っています。

豊田 木は語れない、その木に変わって樹木医が多くの人達に木の訴えていることを聞き出して伝える。そのような考え方で木をみると、その木にふさわしい解説版やラベルが必要になり、それを作ることが要求されてくると思われます。

毛藤 人間でも健全に育っていくためには、個々人に合った教育が必要です。木にとって教育というのは、環境だと思います。環境学は精神学でもありますから、画一的にはダメ。環境という言葉を使わないで、木がもっている生命力と尊厳さを次の世代の子供たちに伝えていきたいですよね。

豊田 木が何を言っているのか、木の心を聞ける、こういう樹木医になりたいですね、そして木が堂々と往生できるように、あまりみじめな手術はしないことです。

毛藤 アボック社も最後に話された言葉を大切にして仕事をしていきたいと思います。

今日はどうもありがとうございました。


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