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田園都市の緑化

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毛藤勤治


ここ三十年このかた、急激に進んだ近代化にともない、とくに都市部における生きた緑が年毎に失われ、今はただ、緑の多かった当時を懐かしむだけである。然し、幸い、前大平内閣は、その政策の一つとして田園都市づくりの構想を打ち出し、現鈴木内閣がこれを継承して、五大都市の近郊を含めた全国の中小都市を対象とする数多くの政策を実施しようとしている。しかも、この田園都市づくり構想は、自然環境、社会環境、生活環境等の整備を前提とし、いずれも環境緑化がその基底とされていることは意義まことに深いものがある。

ここでは、田園都市づくりの根底をなす環境緑化について、われわれに最も身近な県都盛岡市、杜の都と呼ばれる盛岡の緑を取り上げながら中小都市緑化の課題を探って見よう。

もっとも、今や、その人口において市のそれを村が追い抜くような事象もあって、居住者の都市部への集中化は全県的な傾向だから、緑を語るのに盛岡市を選んでも、緑を理解する上で、あながち、不当だとしなくともよいものと思われる。


1、失った木木

美しい花を咲かせて、春の訪れを市民に告げた下小路(現在の愛宕町)の戸毎にあったウメの木。盛夏、赤く熟した実を結んで、道行く人びとの目を楽しませた上田組町(現在の上田一~三丁目)の軒別にあったグミの木。さらに、盛岡のシンボルの木として愛され、あるいは盛岡への郷愁として親しまれた杉土手並木の多数の老杉と、これに混じっていたアカマツとサイカチの老大木。中津川の中の橋ぎわ、元商工会議所の川沿いで、毎年、美しい赤い実と真紅の紅葉で人目をひいたナナカマド。上の橋の橋ふもとに近い、元看護学院前のケヤキの大木など、盛岡が失った緑は少なくない。

これらはほんの一例であって、この外に、商店街の発展と住宅や高層建築の数が増すのに伴って、数限りない古木、老木が伐り倒され、今では、かろうじて伐採をまぬがれた大木が、屋敷裏や路地の奥で、心ある人に守られて、ひっそりと余命を保っているに過ぎない。

杜の都と自称する手前からも、盛岡はこれ以上、緑の伐り倒しがあってはならないものと思われてならない。


2、街路樹と架線

街並みの緑を代表する街路樹の樹種は、何故か、昔から、高木性のものと決まっているようだ。

今、東北地方において選べれている樹種を挙げれば、トチノキ、イチョウ、プラタナス、エンジェ、シンジュ、ポプラ、ケヤキ、ハンノキ、キササゲ、ニセアカシヤ、ユリノキ、トウカエデなどが主なもので、いずれも巨大木の仲間で、盛岡の街路樹の樹種もまた例外ではない。

さて、わが国の都市道路の殆どは、両側の建物または店舗の軒端に近く、あるいは、歩車道に分離された道路では、その分離線に沿って電柱が建てられ、地上六メートルの空間に低圧線または電話線が張りめぐらされて、街路樹を含めたあらゆる木の樹冠の高さは、全てこの高さ以下に制約されている。

たまたま、三層高圧線だけの場所では一一メートルが架線の高さであるから、幾分、制約が緩和されるとしても、このような条件を供える街路は小部分で、その箇所も少ない。

さらに商店街においては、街路樹の下枝が伸びると、ショーウィンドーや店先の看板に邪魔するばかりでなく、商品の搬出入に不便が生ずるとして嫌がられ、また、枝が上に伸びれば架線接触事故発生の原因になるというので、道行く人びとは、まだまだ緑陰が恋しい時期なのに、街路樹の剪定が、道路管理の一環として行われる。その剪定も入れ混んだ枝や病害をうけた枝を除いて、その木が持つ本来の自然的な姿を保たせるなかで、風通しのよい条件を与えようとする、いわゆる樹木の手入れではない。造園業者の人たちは命ぜられるがままに、足下を猛スピードで走る車の波の危険にさらされながら、無惨といっても過言ではないほどの強い剪定、つまり坊主刈りにするのである。

これも、街路樹として植えられた樹木は、いずれも、自然の状態では、二〇メートルはおろか、優に三〇メートルにもその背丈を伸ばす性質の樹種であって見れば当然といえば当然で、毎年多額の公費が、街路樹の坊主刈作業に投ぜられるだけならまだしも、強度に剪定された街路樹は、碌(ろく)に花もつけず、したがって実も結ばず、あまつさえ、紅葉も黄葉も、美しいいろどりを示してくれない。

そこで思うのだが、現在における街路樹の見直しの一つとして、五乃至六メートル、若しくは一〇メートル位の高さを本来の樹冠の高さとする花木の仲間に切り替えできないものだろうかと。

このような樹木を選んだとき、街並みは、明るく生彩に富んだ自然美を備えることは請合いだと思う。

今後の田園都市づくりの推進にとって、重要な課題の一つに街路樹の見直しがある。


3、河岸の緑化

広大な土地に恵まれ、山林王国といわれている岩手県は、さすが河川の分布が豊かで、殆どの市町村はそれぞれの河川の流れに沿って発達した。

なかでも、盛岡市は北上川が雫石川、中津川、藪川の支流と落ち合う地点に拓け、とりわけ周辺も自然的環境に恵まれていて、田園都市としての条件をよく備えている。

さて、ここでは、とくに都市部における河川の緑化について考えて見たい。

加賀野一丁目、中津川沿いの川留稲荷神社境内から、下手の方、約百メートルほどの区間で、川辺の大樹が、スッポリと頭上を被い、川沿いを通る人びとを緑で包んでしまう。

しかも、ここの三〇メートルを越す大樹が、いかに繁っても、緑の陰は全て河川敷と水面に落ち、川端に住宅を構える市民との間に、いまだかつて、日照権問題が起こったことを聞かない。かえって、河畔に糸を垂れる釣人から、流れに写る緑陰が喜ばれる始末である。

これも、川留稲荷神社は中津川の左岸(川下に向って右手の岸は左岸)に位置するから求められるもので、若しも、向い岸、つまり右岸にあったら、川辺の住民とこの附近を耕す耕作者から、日照権を主張する苦情が百出して、おそらく、緑の維持は不可能な状態に陥るであろう。

要するに、都市部の住宅地(今後、住宅地として発展する可能性のある川辺を含む)及び都市郊外地域の河川の緑化については、植栽樹が将来、いかに高木となっても、その緑陰が河川敷側に投ぜられる条件を備えた河岸を選ぶべきである。

この目で盛岡市を眺めるとき、①中津川においては概ね水道橋から左岸沿いに北上川の落合までの約四キロメートル区間、 ②雫石川においては、北上川の落合から右岸に沿って上流に向い、下川原、作治、川後、樋口、碇、穴口を経て沼袋に至る約八キロメートルの区間(ただし、沼館と樋ノ口及び穴口の下流附近を除く) ③北上川の上流部については右岸沿いに安部館附近から開運橋を経て、雫石川の落合までの約三キロメートルの区間 ④北上川下流部については同じく雫石川の落合から右岸に沿い、明治橋と南大橋を経て、北上川の落合までの約二キロメートルの区間などが、河岸の緑化可能地として浮んでくる。

しかし、これらはいずれも、直轄管理の一級河川と知事管理の一級河川水系や一級河川の主な第一支川であって、当然のことながら、市の管理外に属し、しかもその河川敷及び河川堤防に対しては、土止め用の地被植物以外の一切の植物の植栽は、増水時における災害防止の立場から、全河川敷とその全堤防について禁止されている。

故に、若し、市が河岸緑化の計画を樹立した場合、その実行については河川敷を除いた、堤塘の外側植栽の条件のもとで、国または県の承認を求めるか、あるいは国または県の緑化事業として実施することを要請する手立てが必要となるし、また、植栽する場所の地権問題にも取組みしなければならない。

なお、①に挙げた中津川左岸については、上の橋より中の橋附近までの間は、すでに建物で埋めつくされているが、このような場所の緑化については、後述する動く緑陰のなかで触れたい。


4、憩いの木陰

岩手公園の芝生の広場は、中の橋のすぐ下流、中津川の右岸沿いの県立図書館に隣接して設けられ、市民の遊び場として開放されている。

よく管理された芝生を慕って訪れる人びとが多く、とくに子供連れが多い。

しかも、この広場には、おそらく県内でも見られない唯一のブールバール(Boulevard)が特設されていることは見逃せない。

このブールバールは中津川寄りに細長く区切った芝生地で、その面積はわずかに四十メートルそこそこ。

この芝生には「田園の幸福」の花言葉を持つユリノキ三十八本がランダムに植栽されている。

手頃な密度で不規則に植えられたユリノキは樹形と幹膚をよく揃えて美しく、六月中旬、形と大きさが、チューリップそっくりの緑の花を咲かせ、中津川の川面を渡ってくる涼風に、袢纏(はんてん)そっくりな大きい葉を静かに動かす。

親たちは、ここで休みながら、広場の芝生で元気に遊ぶ子供たちに目を注ぎ、昼食時にはユリノキの根元で団欒のひとときを過ごす。また、真夏には、ユリノキの木陰に仰向けになって午睡をむさぼる若者たちをもよく見かける。

ブールバールとは芝に被われた場所に、同じ樹種を、適当な密度で、不規則に群植し、下枝をある程度まで高く保させて、陽光の投入を図って芝を保護し、人びとに憩いの木陰を提供する場所を言い、欧米では、さらに所々に自然の岩を配したり、大理石の彫像を置いたりしている。

ブールバールは広い面積を要しない特長を持つので、設置は比較的容易であって、工場の緑地やマンションの公共空地などにも応用して喜ばれる設備である。

先駆のブールバールを中津河畔に持つ盛岡市は、今、進めようとしているグリンプロット(Green plot)の設置と併行して、このブールバールの増加を期して欲しいと思う。


5、動く緑陰

宮沢賢治は円形の中央にポールを立て、陽の光が落とす影の動きで時間を知る日時計を花巻農学校に残した。

ここでは、この日時計のポールの陰の移動性を都市緑化に生かそうというのである。

さて、新潟県の水田地帯において、昔から広く普及したハセ木は、地上から四メートル位までの間の枝を払い、樹冠だけを残したトネリコ(新潟、長岡地方ではタモノキと呼ぶ)あるいは、ハンノキの仲間で、専ら稲の掛けぼしに用いられる。

ハセ木の樹冠が落とす緑陰は、賢治の日時計と同じく、太陽の動きにつれて移動し、同じ場所に長く停止することをしないし、樹冠をその下に植えられた稲とは相当の距離を保つほか、田面を流れる真夏の涼風を遮ることもしないので、米の穫れ目に変りがないとされている昔人の英知が生んだ遺産でもある。 庭面積が余り広くない、一般的な住宅地内に残されていた老大木が、隣家の人たちから、日陰になって困ると顔しかめされていたのに、ひとたびこの方法で幹 を整理してからは、庭にもガラス戸にも陽が入るようになったし、真夏には、屋根はよい按配に陰になって、今までより部屋が涼しくなったと、逆に隣人より感謝されたという例さえある。 だから、動く緑陰の導入は、こんごにおける都市づくりに大いに取り入れたい方式の一つで、この課題に対し、こんご関心を寄せるべきであろう。


6、町内会の花木

戦前だったから、今から四十年位も前までは、始めに述べたように、グミノキの多い通りとえば上田組町、ウメの多い町並みといえば下小路と、盛岡の相場は決まっていた。

グミの実が赤く熟する頃は、子供たちは木登りして、グミもぎを楽しんでいるのを見かけたし、また、わざわざ遠回りをいとわないで下小路に歩を運び、ウメの花を愛する城下町の人が少くなかった。

このように、それぞれの町が、その町内に多い花木で、通じ合えるような町々が、都市づくりの中で進められたら、すばらしいことだと思う。

しかし、今は昔と異なり、交通障害の原因になってはとの心配が先に立つ。

だが、日影門外小路(現在の大通二丁目)の中頃にあるナツメ、大清水小路(現在の清水町)の坂下のべニサンザシ、さらに明治橋を渡って、三百メートル位を仙北町に入れば右手に見られるハナカイドウなどは、道路に接して植えられ、したがって、道路に張り出す枝も多いが、いずれも枝の地上高が高く、さらに、樹冠が架線直下で止まっているため、バスや大型トラックの交通障害にもならず、秋祭りの山車の通過も遮げない。これらの木は毎年その花を競い、または美しい実をつけて道行く人の目を楽しませている。

今、これらの実証に基づいて、それぞれの町が、新緑、開花、結実、紅葉などについて、それぞれの好みに応じて、『町内の木』を選定し、町内会が主体となって、各戸に一本なり二本なりの割合で苗木の植栽を進めるとき、市内には、折ふしの花が、いつもどこかの町を彩り、春秋を通じて絶えることがない特長的な緑の都に生まれ変わるだろう。われわれは、この考えを単なる盲想狂の夢だとして低く評価すべきではないと思う。


7、商店街の緑化

商店街の緑化は、植物を植栽する場所が複雑な条件に阻まれて極端に少ないうえ、路巾に比べて、両側にギッシリと高い建物が立ち並び、日光の投入も少ない。とくに、東西に走る町並みでは南側は、日照時間が、北側の店舗より著しく短い。

しかし、最近、商店街の人びとのなかに、顧客のサービスの一環として、商店街の装飾に可能なかぎり、生きた植物を取り入れようとする動きが見られ、一部ではすでに、実施に移しているところもある。

盛岡市の茸手町(現在は中の橋一丁目)の商店主会の青年部が昨年から、アサガオの苗を共同で育て、毎戸の軒端まで一面に、色とりどりのアサガオの花を咲かせたし、大通一丁目から三丁目の店主会は、婦人部の理解と協力を得て、車道と歩道の分離線に引掛け式のフラワーボックスを釣り、四季折おりの花を咲かせて、潤いと美しさに満ちた街づくりを開始している。

この商店街緑化の新しい芽生えはこんごとも大事にはぐくんで行きたいものだ。

僅かな土地でも活用してできるだけ仙北町のハチカイドウ仕立てかたの導入、あるいは、アケビ、ハゴロモルコウソウ、テッセン、ノウゼンカヅラなどの蔓性植物の導入、あるいは日影でもよく育ち、しかも花を美しく咲かせるシュウカイドウやキフネ、または常緑性のヤブランなどと範囲を広めて導入し、商店街をさらにさらに生きた緑と花で満たしていって欲しいものだ。


8、住宅街の緑化

生垣の多かった住宅街を歩いて感ずることは、年毎に、ブロック堀が増加し、変化に乏しいものに変りつつあることだ。

しかし、最近になって、この乾燥し切って、なんのへんてつもないブロック堀の壁面を少しでも潤いあるものにしようと、ナツヅタをはわせている家をよく、見かける。都市緑化の点で、まことに喜ばしく、段々と増えて欲しいものと思う。

しかし、ナツヅタは、紅葉の美しさにひきかえ、病害虫が発生し易く、特に大形の毛虫が着く難点と、常緑でないという泣きどころを持っている。

しかし、ナツヅタの落葉性を補い、年中、緑の葉を落とすことなく、付着根を出し壁面をよじ登る常緑蔓性植物に、キヅタとテイカカズラがあることは注目に値する。

キヅタはテイカカズラより丈夫で、いずれも本州各地の林床に自生し、日陰にも強いうえ、耐病性も高く、葉に光沢があって毛虫も着生しないし、ガス公害も受け難い。

また、テイカカズラは、その自然分布は秋田、宮城県が北限だから、盛岡附近では、南面で北西の寒風が直接当らない場所を選ぶ必要があるが、芳香のある白い花を秋に咲かせて美しい。

さて、キヅタはフユヅタともいい欧州で改良が進み、園芸品種が八十種を越すが、十数年前から東北地方の花屋にも姿を見せたウコギ科のへデラ属に属し、その欧州改良種を園芸業者はアイビーと総称している。いずれも葉形はキヅタに似ているが、斑(ふ)入り、葉が多く美しい。しかし、これが直ちにプロック堀の緑化に適するか否かについては、こんごに問題を残しているが、日本に自生するキヅタは反射光線だけで充分に生長する強靭な植物なので、北向きの壁面にはわせても、緑化の役目を十分に果たす。

植栽する場合は、まず、日当りで苗育し、つるの長さ一メートル位に伸びた時点で、ブロック堀の内側、飾窓のついたブロックの直下に本植えし、つるを飾窓の穴を通して、道路側に出し、つるの先端をガムテープを用いて壁面に密着させる。やがてつるから付着根を出し、自力でコンクリート面にはい上る。

ただここで注意したいことは、モルタル仕立の壁面、ことに雨で漏れる壁面にキヅタをはわせた場合、ナツヅタと同じく付着根の場所に雨水の一部が溜り、その一部の雨水がコンクリートにも浸透し、これが冬期、とくに早春、浸み込んだ水分が凍結してコンクリートモルタルに亀裂を生じさせる原因となることがある。よって、完全防水施行のモルタル壁以外は避けるのが無難である。

さもなければ、「庇(ひさし)の下などで雨水で漏れることのない場所の植栽に限定すべきである。

つぎに、最近、都市部における住宅の建込みが、年毎にひどくなってきた。

この建込みが増せば増すほど、庭の日当り面積が減少してくる。そして庭の草木が日陰の中で病害虫に犯され、花ろくに咲かなくなり、あげくの果ては枯死するにいたる。このような状態の進むなかで花と緑の町づくりを進めようとすれば、植物に対する観点を「日陰に強い草木」に置き換えざるを得ない。

すなわち、日陰に強い草類では、例えば、ユキワリソウ、シュウメイギク、ヒトリシズカ、フタリシズカ、クロユリ、ヤブラン、 ヒメカンゾウ、カタクリ、コアニチドリ、ドイツスズラン、サギリウ、 キフネ、クマガイソウ、アツモリソウ、シャガ、クリンソウ、リュウノヒゲ、トクサ、クサキョウチクトウ、シラネアオ イ、ニッポンサクラソウ、シュウカイドウなどが挙げられるし、また、庭に適する小低木として、アオキ類、マサキ類、コルデーリア、ヤブコウジ、ハクサンシャクナゲ、ヒメシャクナゲ、オオデマリ、 ウメモドキ、アマチヤ、アジサイ、アセビ、コヨウラクツツジ、ドウタンツツジ、ギンチョウゲなどのような日陰に強 い植物があることに注目したい。日陰の程度によってこれらに属するものの中から適宜に選択して見てはどうだろうか。

近年、早春になるとあちこちに植木市場が開かれる。この市場で「日陰植物のコーナー」が特設されることが望まれてならない。

最後に、屋敷まわりの花木に触れたい。

その前に、積雪寒冷地帯つまり寒地における庭木、とくに高木性の常緑樹植栽の基本を述べる必要を感ずる。

①東南部にはなるべく植栽本数を減らすこと。

②西北部には、できるだけ常緑樹を植込みして、夏と初秋の西陽よけとするとともに、冬季間における北西の寒風を防ぐこと。

だが、この二つの基本に従わず、東南の側に常緑樹を植込み過ぎると、長い冬の間、太陽光線の投入をシャットアウトし、南側の廊下も部屋とともに冷えびえとして暗くなる。

これとは逆に、東南の側に植えられた広葉樹は、太陽の光線のそそぐ中で、若葉、開花、深緑、結実、紅葉と、春から秋まで変化に富み、加えて、常に美しい緑陰を作り、落葉後は、冬の弱い陽ざしも、よく通して、廊下や部屋を明るく温める。

そればかりではない。季節、季節に色や姿を変える庭の広葉樹は、その家の生垣や塀越しに、外からも眺められ、道道行く人びとの心を和らげ、街の美化にも役立つ。

つぎに挙げるような樹種は、盛岡の庭の木として好ましいものと思われる。

サンザシ、シデコブシ、エゴノキ、マンサク、モクゲンジ、ギンヨウアカシア アメリカハナズオウ、ムクゲ、アメリカハナミズキ、サルスペリ、リョウブ、シャリンバイ、ナツメ、ビックリグミ、キンシバイ、サイフリボク、ナナカマド、チョウセンレンギョウ、チョウセンゴシュユ、ライラック、ノリウツギ、テマリカンボク、ニシキギ、ヤマモミジなど。


9、農村部の緑化

都市の農村部も最近にいたり、カラーフルな屋根とアルミサッシの雨戸に改まり、明るい住居に変った。しかし、屋敷回りの「エグネ」とも言われる針葉樹の立木は、旧態依然として残されていて、まことに暗い感じを与えてアンバランスだ。

しかし、屋敷回りの立木の存在は、それなりの理由と効用を持っていて、今さらどうこうできないとは、農村部の人びとの感情だろうと思う。だが、一方、明るい住居を望む気持は誰しも同じだから、すでに改めた近代建築との全体的な調和について、立木を見直して欲しいと思う。例えば、入ロから玄関までの間や屋敷の東南に当たる部分の立木についてである。これもただ間引いたり、皆伐するのではなく、余地を求めて一本でもよい、花木を植えようというのである。

花木に越した明るい木はない。しかもこの場合、多量に花蜜を生産する蜜源樹を選びたいし、好みによって紅葉の美しいもの、樹形のすばらしいものを選択したい。

今や農村部も都市部と殆んど同様な生活様式が取り入れられている。田園都市づくりの一環として、こんごの農村部への明るい緑化の推進は、いよいよ重要な事柄となって来たことをお互に認識し合わなければならない。


10、遠見の並木

東北地方の汽車の旅で、車窓から眺める景色のうち、山形近辺のサクランボの木(正名はセイヨウミザクラ)と、自河附近の延々と続サクラが、遠見の並木として旅の印象を強める。

盛岡市の近郊、東北農試や種畜牧場のアカマツの防風林は、車窓からの眺めは美しく、また雫石町に位置する小岩井農場のカラマツの防風林もすばらしく、いずれも遠見の並木として観賞に価する。

もともと、並木は、人間の通る道の両 側にあるべきものとの考えは間違いで、片側並木も、また、道路からはるかに離れた場所に並ぶ木も、ともに並木に違いないのである。

遠見の並木は、広々とした背景を持つことから、百メートルを単位とする長さを保ち、高木が選ばれるが、一本の並木の樹数が多いので、花粉病の原因となったり、種子の綿毛が飛び散るような品種は用いてはならない。

欧米では以前から、広々とした情景の引き立て役として遠目で美しい遠見の並木は、田園都市づくりに欠かすことのできないものとされてきた。

しかも、地方地方特有の樹種が選ばれてるので、いつの間にか旅人たちは、遠見の並木の樹種の変化でそれぞれの地方名がわかるようになって、遠見の並木の移り変りを、旅のガイドポストとさえ呼ぶにいたっているという。

盛岡市のこんごにおける田園都市づくりにおいても、市の郊外における「遠見の並木」を、その設計計画のなかに組込んでもらいたいものだ。

今まで、筆者が生れついた盛岡の里を引倒しながらの田園都市づくりに触れてきたが、最後に中国の緑化思想とその普及と実施の一部を紹介して、参考に供したい。

昭和五十四年九月開催の全国人民代表大会において、中国は環境保護法を決定し、直に、これを公布して実施に移った。

この中で環境緑化については「四旁緑化」を取り上げた。四旁とは、①集落 ②道路 ③河川 ④家屋の四であって、これらの周辺と空地に草木を植えよという規制なのである。さらに、教育部門では、環境保護法実践の一環として初等教育の全課程のなかに、毎年、年間二十種づつの草木を、正しい名称とともに子供たちの身につけさせて行くという教程を組み入れた。

筆者は、この中国の環境保護法の制定を知り、わが国が生んだ世界的植物学者、牧野富太郎博士の言葉を思い出す。植物となかよしの友だちになるためには、まずその植物の名を知ることです。……その名を正しく知ることが植物に近づく第一歩です。あいての名も知らないでなかよしになることはできません。……中略……人間は忘れっぼいもので、植物の名をちょっとおぼえたくらいでは、すぐまた忘れてしまいます。しかし、子供の時におぼえた名は、強くあたまにやきついて、なかなか忘れないものです。ですから私は、少年のころに名をおぼえておくことは、その人の生涯にとって幸せなことだと思います。


岩手緑化研究会会長


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