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第七章 植物生態の不思議

第九一話 腐生のはなし

従属栄養で生きて行くギンリョウソウ

死んだものから有機物をとって生活する


人は死ぬと土になるという。それは腐るからであろう。植物も同じだ。

動物や植物の体を作っている多くの種類の物質は、死んだあとほうっておくと腐敗バクテリアや他のいろいろなバクテリアの共同作業で処理され、ついには長い時間をかけて土になる。落葉は積んでおくと堆肥になり、翌春から花作りの栄養源となる。

自然の中で落葉の重なりあった場所に好んで芽生え、生きている植物もある。

かなり前のことだが、北関東の谷川岳に登ったときのこと。登りの山道を汗を流して歩いていたら、がけ下の日陰で、落葉の重なりあったあたりに銀色のキラキラする植物を発見した。それがギンリョウソウ(銀竜草)。透き通るような白は、目をあざむくばかり。別の名を水晶蘭といい、中国で使われている名だ。

植物の生活型は普通、炭酸同化作用か、根からの栄養分の吸収だ。いわば無機物から有機物をつくりだす独立栄養だが、ギンリョウソウは違う。葉にクロロフィルを持たないから同化作用を行わない。このため、腐る過程にある落葉の分解中のものを栄養源とする特異な生活をする。つまり、人間や動物と同じ従属栄養で生きていくタイプの植物だ。これを腐生という。

広い意味では寄生植物だが、死物にとりつくということで専門的には死物寄生という。古くから幽霊茸ともいわれているゆえんだ。ただし、イチヤクソウ科のれっきとした高等植物の一種でもある。似た仲間にはシャクジョウソウ、ギンリョウソウモドキがあり、いずれもユニークな植物である。

ギンリョウソウは谷川岳に限らず、東京近辺の奥多摩や千葉県の山などでも見られるから、山好きの人は気を付けて観察するとよい。シャクジョウツウは深山でないとお目にかかれない。外形はよく似ているが、花の構造が違うため別属となっている。

花どきはいずれも夏、ギンリョウソウは6~8月、シャクジョウソウは5~6月。

日本だけでなく、韓国、台湾、中国、シベリア、インドと広く分布する。『原色台湾薬用植物図鑑』を開くと、水晶蘭の漢字が当てられ、銀杖草、夢蘭花、銀竜草、幽霊草の別名が記してある。そして、台湾中央山脈森林内陰暗所に散見自生するとあった。さらに、全草にはモノテルン類や糖類が含まれ、身体を丈夫にする薬効があると紹介し、全株潔白透明水晶のごとしと結んである。

腐生というと、死んだものから有機物をとって生活するアオカビ、ケカビは知っていても、水晶蘭のように美しい自然界の〝知られざる人々〟がいるということを忘れないで欲しい。

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