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第20回 『熱帯植物巡礼』

1990年国際花と緑の博覧会で政府館の植栽デザインを手がけた著者が、室内観葉植物の原産地をたずねて熱帯・亜熱帯を巡る旅。見つけた植物の原地での生態や利用のされかた・形態・特質を鋭い観察眼でとらえた、浪漫あふれる植物記。

日本大学生物資源科学部資料館双書3『熱帯植物巡礼』
田中耕次 著 / アボック社 / 2000年 / B6判 286頁

はじめに

本書は、田中耕次さんが昭和六十三年(1988)から今日まで、『インドアグリーン協会報』に連載した多くの植生関連のエッセイの中から、熱帯・亜熱帯地域の記事を中心にして加筆し、再構成して出版したものです。

同氏は日本大学農獣医学部農学科(当時)を昭和三十九年三月に卒業し、その後今日まで一貫して観葉植物に関わってきた人です。したがってこの分野における学識経験が豊かである傍ら、今日の時代的要請も心得た、熱意あふれる斯界第一級の専門家といってよく、本書の内容を執筆するに最もふさわしい人でありましょう。

今日、花と緑に対する意識が高まっている中で、人間の生活の中で快適性(アメニティ)が重視される時代となり、これを演出する観賞用植物の重要性が増しております。緑を屋内に導入しますと、ディスプレイすることで、美観の保持、空気の浄化、防音、遮光、人間の疲労回復、気分転換(リフレッシュ)など、生活環境の改善のためのさまざまな機能や効果が生まれるからです。

とかく最近の世相で忘れられがちな優しさや心の安らぎを与えてくれ、身近に自然を感じさせてくれるなど、潤いのある生活を実現するための必需品として、植物はこれから先さらにあらゆる生活の場に普及していくことでしょう。ただし、そうした傾向の中でニーズが多様化していることも見逃せないので、質的にも満足のいく植物が求められているところです。

このような折りに本書が世に出ることは、まことに意義深いものがあります。すなわち本書によって、今日の観葉植物に関わる新知識が得られるのはもちろんですが、挿入された多くの写真から、馴染みの鉢物植物の本来の形や生態を知ることができ、知識をより深めることができるからです。また最近注目されているオーストラリアやニュージーランドなど、南半球の植生誌も登場して斬新な内容となっており、しかも全編を通じて紹介される植物の話は、著者の関心の深さを物語るかのように、他書とひと味異なるものが多いからです。さらに植物の原生地における薬用、用材、繊維、染料などの利用状況や人間との関わり、逸話なども多く盛り込まれ、肩のこらない読み物となっているのも嬉しいかぎりです。

本書は、広く植物を愛好する方々や観賞用植物を扱う方々の、文字どおりよき解説書となるでしょう。

平成十二年三月一日
日本大学生物資源科学部 米田和夫

著者あとがき

本書は(社)日本インドア・グリーン協会発行の業界紙『グリーン・ニュース』に掲載した連載記事(1988年8月より現在に至る)から、室内観賞植物に関わりの深い地域のものを中心に選んで収録したもので(ただし、単行本化にあたり内容の重複する部分や、主旨にそぐわない部分を削除しながら)、主に熱帯地域での植物との出会い、その植物に関しての諸々の話などを内容とするものである。

熱帯地域にでかけるきっかけになったのは、やはり先代から観葉植物リース業を行なっていることにあるだろう。二十数年前に奄美大島に行き、亜熱帯の原生林を散策する機会があり、原生林に生える植物の豊かさ、逞しさ、したたかさに感動し、以来植物を訪ねる旅にはまりこんでしまった。その後各地への旅を重ねていくなかで、業界人はもとより観葉植物生産者などの仲間も増え、旅行の写真交換、ビデオやスライドの映写会(ときには影写会?)を行なうなどしながら、自然発生的に「植物研究会」なるものも生まれていった。

ともあれ、鉢物を使うグリーン・アレンジメントや鉢物生産にあっては、原生地の状況や、その植物が直接生えている状況を観察することはもっとも大切なことであり、観賞者にとっても、維持・管理の面から、あるいはその植物の属性や素性を正しく理解する意味からも重要なことである。本書では、極力そうしたことが伝わるように努めたつもりであるが、読者におかれて参考になる点が多少なりともあれば、著者の喜びとしてまさるものはない。また、本書で話題にする植物も、なるべく「ありきたりの」ものではないように心掛けたので、その意味で新鮮なものを感じとってくださればまことに幸いである。

なお、書名の『熱帯植物巡礼』であるが、内容が熱帯地域を中心としていること、さらに、マレー半島から始めて、インド洋・太平洋をほぼ巡るかたちで章構成を考えたことによるものである。英国の著名なプラント・ハンター、キングドンーウォードの著書に『Pilgrimage for Plants』(最近、岩波文庫の一書・塚谷裕一訳『植物巡礼』として刊行された)があるが、それに多少なりとあやかりたいとする気分がないとはいえない。ただし、亜熱帯圏の「奄美大島」や「ウェスタン・オーストラリア」、あるいは部分的に亜熱帯圏に入る「ニュージーランド」の章など、厳密な意味で本書の書名にそぐわない内容のものも入っているが、いずれも室内観賞植物の興味の観点ゆえであり、どうかお許しをいただきたい。また、上述のような章構成ゆえ、各章の配列が必ずしも時間的順序になっていないことをおことわりしておく。

本書を日大生物資源科学資料館双書(NUBS)の一書とするようにとのお誘いは、著者の先輩でポナペ島の旅に同行されたり、著者が携わる「園芸装飾専門学校」の講師も引き受けてくださっている、日本大学生物資源科学部の米田和夫教授からいただいたものである。一本にまとめるに当たっては同学部小山鐵夫教授と共に多大の御指導をたまわり、ここに深く感謝申し上げる。編集にあたっては、連載の元原稿をデジタル化して提供して下さった(株)白峰の安藤綱三社長、仕事とはいえ拙文の表記上の統一など整理面で大変ご苦労をおかけした発行元出版局の森弦一、小嶋明人の両氏およびスタッフの方々にお礼を申し上げたい。とはいえ、文責はあくまで著者にあり、内容の至らぬ点など広く識者の叱正を乞う次第である。

平成十二年三月
著者

『熱帯植物巡礼』コンテンツ一覧▼ 目次(青字)をクリックすると、各文をご覧いただけます

はじめに

マレー半島
ペナン島
スリランカ
マダガスカル
オーストラリア―クイーンズランド
オーストラリア―ウェスタン・オーストラリア
ニュージーランド
タヒチ
琉球列島―奄美大島

著者あとがき

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