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「ユリノキという木」を読んで 元岩手県立緑化センター所長 八重樫 良暉

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1990年(平成2年)1月19日 岩手林業新報

この度、毛藤勤治著「ユリノキという木」という、ただ一種類の木とそれにまつわる事柄をまとめた三百ページの本が出版された。

これを聞いたとき「なにがなんでも、一つの植物についてこんなに」と抵抗を覚えたが、副題が「魅せられた樹の博物誌」、加えて、さらに英語で「ユリノキ物語」と添え書きしていることに興味をそそられて読む気になったことは事実であった。

装丁の美しい本をひもどくほどに、各章ごとに挿入されているカラーグラビアに食いつくように見入った。そして読むほどに、第一に気がついたのは、国の内外問わず、多数の文献や資料を広く通読し、ユリノキと人間とのかかわりを見逃さずに、つぎつぎと明快に紹介していることだ。しかも、いままでわが国に入ってきた多くの渡来植物と同じく、決してよそもの扱いをしていない。

呼び名いろいろ、原始の花、奇異な葉形、成長迅速、寿命、蜂を呼ぶ、幻の原生林などにはじまり、ユリノキの日本襲来考、新宿御苑のシンボル、上野のユリノキの殿堂、銀座の並木、その他あまたのエピソードが物語風な筆致でよどみなく進められている。

とくに、ファンタジックなメルヘン「チューリップの花かご」は、テレビの「大草原の小さな家」の情景が起想されて楽しい。

また、小泉苗木の一編は、かつての小泉多三郎盛岡市長の新婚当時に育成した苗木が今は巨大木となってるユリノキの下で、当時少年だった三田俊定岩手医大学長がその思い出を語る懐かしさに満ちたエピソードである。かと思えば、他編には受難のユリノキたちの話がでてくる。ここでは著者のユリノキに寄せる哀愁が心をうつ。

各編には、いつでももの言わぬユリノキがあるだけで、著者のいたわりといつくしみの心が、表面に出ることなく、一貫して伏流水としてよどみなく流れている。

だから、本書をとおしてこの木にはじめて接する人びとでもおそらく抱くだろうと思われる感動を随所でうける。

加えて、ユリノキの生態、化石、薬理についてのこの道の名だたる先生方の寄稿文は興味が尽きない。さらに、さきごろ、小笠原植物図をまとめた著書の次男の証になるシナユリノキの記述は読者を未知の国に誘う。

文中の要所に挿入されている五十六枚の写真と九枚の図は、通読の道しるべ役を果たし、肩をこらせない。読み終えて、私はひそかに「これからは、ことユリノキについては人後に落ちることがない」という自信を得た。どの章から読んでもユリノキの理解に苦しむことはなく、読者の自由な選択に一任した編集のさえをも感じることができた。


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