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わが家の動物記(4)

1991年5月2日 鎌倉朝日
1991年5月2日 鎌倉朝日

テナガザルのウークンの正式な名前は、シロテテナガザルという。生まれはマレー半島の森林。ほとんど樹の上の生活者だから手が長い。オシッコもウンコもぶら下がらないと出ない。この愛嬌ものの全身は、金色に近い褐毛につつまれて、手の甲と額のぐるりだけが白い。いいスタイルだ。

このサル君、突然に大船のペット店に現われ、私を驚かせた。あきらかに(絶滅に瀕している動植物の輸出入を禁止する)ワシントン条約違反だ。売り物ではない、という店主の言い訳けをよそに、私は保護者気どりになって衝動的に入手した。

ウークンはすでに3歳をすぎた成年猿だった。長い間、狭い檻の中で人目にさらされ、いじめられ続けてきたのでろう、極度におびえきっていて、手を出すと噛み付いた。

このウークン、少し時間を要したが、わが家を飛び回わるうちに落ちついてきた。風呂に入れ、毛をとかしたりすると、肩に乗り、甘えて抱っこをせがむようになった。夜は布団に入ってきた。

このウークン、それでも子供たちよりも小山羊のみどり丸をいちばんの遊び相手に選んだ。そしてついにクロさえも陥落させるに至る。はじめもちろんクロは困惑顔だった。激しく追いせまる度ごとに、上手に頭上に逃げられ、次第にあきらめ顔に変わった。ある瞬間、友情らしきものが芽ばえる。俗に犬猿の仲というが、これはニホンザルに限るらしい。

そんなクロの素振りに気を許してしまって、性懲りもなく私は、動物飼育を続ける。

〝わが家にも犬がほしい〟と子供たちにせがまれ子犬を買った。はじめは、黒と茶の長毛が目を隠すほど垂れたあのヨークシャーテリアのジロー君だ。それでもクロに遠慮して、家の中で育てることとした。

これが、ある日のことである。廊下からポンと飛びおりてしまったジローの首ねっこを、クロは戯れっ気でくわえこんでしまったのだ。これをみた子供たち、〝ジロー〟と大声をだしたからいけない。クロの目はたちまちに嫉妬と敵意に至った。

くわえた口に何度か力がこもる。ジローはひとたまりもなかった。

これが私の家が体験した初めての動物との別れだった。事故とはわかっていても、落度であり、未然に防げたのかもしれないと思うと、辛かった。

しかし、わが家はまた賑わしくなった。私が北海道の友人宅から赤ちゃん犬を譲りうけ、オーバーのポケットに入れて持ち帰ったのである。

生まれてすぐこの真白いアイヌ犬は、〝エル〟と名づけ、ジローの分までもと、私たち家族は心底から可愛いがった。エルはとても利口に育った。野生の資質も残していて実に忠実だ。いつも私達の様子をうかがい、まるで言葉を理解しているような顔つきをした。完全に家族の一員だった。

そしてある日、私はまたしても、愛らしい小犬を見つけてしまった。前述のペット店にいたセントバーナード犬のオスの赤ちゃんだ。「クロと休戦に入るためには、おっとりした巨大な犬が必要なのだ」、「動物はつがいで飼わなくちゃ」とかなんとか屁理屈をつけて、その小犬を強引に家に連れてきてしまった。全身にセント特有のぶち模様が入り、とぼけた顔をしたこの犬は、〝アール〟と名づけられた。

みどり丸にウークン、そしてエルとアールの全員が一堂に会するとそれはそれは騒々しかった。私はこれらの世話にへたすると半日がつぶれるしまつだった。

この四匹の小動物に、インドのカルカッタから連れてきた二羽のオウム(パロとピロと名付けた)が加わって、わが家の動物たちは、その後の数年間、〝この世の春〟をむかえていくのである。(おわり)(元・鎌倉市岩瀬在住・環境と植物の情報を扱う「アボック社」社長)



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