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アボック社十五周年・記念対談 庭先から広がる街の景

1990年2月 ABOC通信 第13号
1990年2月 ABOC通信 第13号

プロフィール

是月アンナ
アーバンデザイナー。
ベルギー生まれ。(株)サエラ・ジャパン代表取締役。造園・設計・環境美術についての調査・研究・計画・設計などに従事。6カ国語を話し、ヨーロッパに造園家・園芸家・建築家・彫刻家などのネットワークを持ち、専門家レベルでの国際交流を目指す。

奥 峰子
フローラルアーキテクト。
恵泉女学園短期大学講師。ベルギーカルムタウト樹木園・イギリス王立園芸協会ウェズレーガーデンにて研修の後、現在ガーデンプランニングを主体に活動中。 


日本の印象

 私が日本に来た当初、能登の自然の素晴らしさに驚き、そして京都で日本文化に満足し、日本の良い所ばかり見ていました。ところが、東京の“コンクリート砂漠”で、目が覚めました。自然をどんどん壊しています。その時、徹底的に何とかしなければと決心したのです。それにどこへ行っても、街並み・公園の景色が同じで、不思議でした。

 子供の頃には、花屋さんになりたいと思い、短大に入ってからは、園芸の勉強を始めました。そこで、花壇設計の面白さにのめり込んだのですが、もっと花壇を勉強したくて海外に行ったんです。

日本では、外からよその家の庭は見えませんが、欧州では外からもきれいに見えるように手入れしてあるんです。日本は、鉢に入れて並べようとしますが、ヨーロッパでは地面に植えて、一年中よく手入れが行き届いていました。それに面白いのは、オランダで、窓辺に置かれた人形が外を向いている。これなら通りがかった人も楽しいですしね。

 窓辺の植物も光の入る方、つまり窓の外を向いていますよ。

 ヨーロッパの人々は、自分の庭や窓辺を、他の人も楽しめることが嬉しそうですね。

 ただ欧州でも、花を外に向けて置くという歴史はまだ新しいんです。かつては、街も家も壁で囲まれていました。でも、生活スタイルが変わってきて、道を楽しいものにしようと考える余裕が出て来たんです。すると道の役割が変わったことでその形も変わり、周辺の植栽さえも変わりました。欧州では最初「緑」に注目し、戦後は「花」を意識しています。やはり歴史的な流れがあります。

 時間がかかりますね、文化も違いますし。そういう土壌で「さあ、外向けのお庭を」と呼び掛けても難しいでしょう。

まず自分から変わろう

 ただ、行政・住民とも、街を美しくしたいと思い始めています。例えば住宅の周辺に花を増やしてどう飾ろうかと考えると、「花の後ろのブロック塀・フェンスが邪魔だなあ」と気付きます。看板があると花も映えないことが分かって来ますよ。意識の高まる時期に来ています。まだ殺風景な街並みですが、希望があります。まず自分の所から始めればいいでしょうね。

 行政も、地域の手本になるよう心がけるといいですね。

 教える立場であってほしいですね。例えばフランスの街・アンジェでは、緑化係三百人がデザイン・管理・手入れをすべて自らの手で行っています。ですから街の“顔”が毎年変わるんです。もちろん住民の意見も聞いた上での事です。行政も住民に生け垣を推奨するのもいいんですが、まず「隗より始めよ」ですね。

 ブラッセルでは、街路樹のマロニエが、枝葉を自由に伸ばしてきれいなんです。日本では、皆剪定して、樹形の違いが分からないのです。せめて、個人の庭で、好きな木を一・二本そのままの姿で育ててほしいですね。そして、近所の人に「ライラックの咲く家」とか呼ばれたら素敵ですよね。

日本の文化から発想する

 日本の庭には、在来の植物を植えることです。外国産のものは少しだけ入れるといい。自国の文化は、一生懸命守らないと無くなってしまいますよ。自分の根っこを大切にしないといけませんね。

 欧米に行くと日本産のギボウシ・アオキ・ヤツデ等を大事に、美しく改良して、たくさん植えています。こんな事実に気付かないで、余りにも性急に外国のものを導入しすぎて日本の良いものを忘れています。在来の植物を、もう少し大切に扱って欲しいですね。

 日本の造園の原点は、日本庭園で、外の自然を自分の庭に持ってくるという発想です。葉の色・樹高・樹形を考えて植栽しています。日本の方法でやったほうがいいと思います。そして日本の元々の植物を生かすと美しい庭が出来るでしょう。造園技術も昔からの方法でいい。

 ただ建物が変わってしまいました。洋風の家にマツの玉づくりは合わないでしょう。そんな時は、コニファーにすればいいでしょう。

日本の造園技術を生かす

 日本の造園技術を使って今の日本に合った新しい庭園・公園を作ればいいのです。

 私は、ベルギーの樹木園に行って剪定の勉強をしたのですが、根をワラで巻いて活着させたりするような、大木を移植するまでの日本の造園技術はすごいと思いました。

 ただ技術は生かさないといけません。

 技術に驕ってはいけないですね。建造物の飾りではなく環境の一部と考え、植栽計画も並行して進めるといいですね。

花壇も、日本ではパターン化されていて、模様花壇が主流なんです。本来花壇でさえも、その土地・気候・文化によって違っているものです。もっと工夫した花壇がいいですね。欧州では、宮殿・庭園などたくさんあり、それだけ努力しないと評価されません。円形やキャラクターの顔の形をした花壇でなく、自然な植え込みやボーダーの方がいいんです。

植物との付き合いは子育てと同じように

 ボーダーとは「端」を意味していて、端は、まっすぐとは限りませんから端に合わせて様々な形があっていいですね。

 壁面緑化や四季移り変わるものを大切にしたいですね。次々に植え替えるのではなくて、同じ植物を植え・育て・刈り込み・種を採るような方法ですね。また庭の自然環境を考えて質の高い庭づくりをするといい。花も色々合わせて、樹木とのバランスも考えて、自分の好きなものを植えると個性が出て来ます。そしてそれが楽しみになるっていいですね。これが大切な事だと思うんですよ。

 まさに子育てと同じですね。

 本当にその通りですよ。パターン化してはいけません。

 それと海外に良い植栽例がたくさんあるので、それを見た方がいいですね。私は、今、行政・住民の方々と「海外植栽見学ツアー」を実施中なんですよ。

 日本にもお手本が必要です。欧州には、モデルガーデンがあります。家族で行って参考にして、帰りに苗を買ったりしています。

 欧州のパブリックパークは、無料です。公共の公園は素晴らしいものを作って無料にすればいいですよ。

 それに日本では「樹木アートブック」のような植栽関係の本が少ないですね、植物図鑑はありますが、イギリスでは、毎月何冊も出ます。やはり買う人が多いのでしょうか、たくさん出版されています。

子供の園芸教育用の本も色々出版されています。実践と教育の両面の充実が必要でしょう。

 日本の夏は暑く、水の音や鳥の声などの“自然の呼び声”の聞こえる街並みが必要です。

「東京などの都市部を歩いて何を感じるか」の発想から広く見渡すと、環境問題へと行き着きます。ヒトも、一つの「種」に過ぎないんですから、今のままでは生きて行けません。それには、まず自分から変えて行くことです。家の周辺が変わり、そして街並み・都市へと続く環境が変わるでしょう。

住民と行政が一体になって街自体の大きな声になれば、素晴らしい事ですね。


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