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「私のみたブラジル遺伝子資源植物」標本を後世に残したい

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1996年1月 ABOC通信 No.23
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社内セミナー報告②

「私のみたブラジル遺伝子資源植物」 

標本を後世に残したい

60年にわたるフィールドワークの集大成
サンパウロ植物標本館館長 橋本梧郎先生

前回のアボック通信でもご紹介した、サンパウロ在住の植物学者、橋本梧郎先生が、富山県で開かれた第4回国際伝統医薬シンポジウム(十月十一~十二日)に招待され、5年ぶりに来日されました。

今回の来日は、先生が5年がかりでご執筆され、このたびアボック社出版局から出版することとなった『ブラジル産薬用植物事典』の最終校正も兼ねての旅でした。ぜひこの機会に、と開かれた講演会では、富山では省略された部分を含めて、学術的にも貴重なお話しを伺うことができました。


原稿の総重量は25kg

未知植物の宝庫といわれていたブラジルに、二十歳のときに渡り、もう六十一年になります。一移民としていったものですら、生活のために、自分の植物の研究はなかなかできず、いろいろ長い回り道をしました。

そんなことから、ブラジルの奥地までくまなく歩ける時間ができました。1982年に「ブラジルの薬用植物の植物学的研究」という標題で、トヨタ財団の研究助成を受け、これを機に、今回の薬用植物事典の執筆を始めました。先日、やっと完成しまして、全部の原稿の重さを計ってみましたら、25キログラムありました。

私が今まで集めた標本は、約15万点になります。これを一堂に集めて、ハーバリウムといっています。まあ、長い年月をかけて集めたのだから、なんとか後世のために残したい、なんかに役立つものにできたら、と思うようになりました。今回皆さんのご協力のおかげで、標本館が半ば完成し、標本もそちらに移すことができました。


世界一の川をもつ国

まずブラジルについて簡単に説明しましょう。

面積は日本の23倍ありまして、世界では北米についで5番、人口は1億6千万です。地形的には、西にはアンデスの6000メートル級の山々が連なり、それ以外の大きな山は、大半が南東の方角にあります。またブラジルを代表するアマゾン川は、遠くペルーを源流として流れ出してきており、最近の報告によると、ナイル川をしのいで、世界一の長さをもつと言われています。


さまざまな植物

地域ごとの植物分布状態について紹介していきましょう。

森林は54%を占めています。セラードとよばれるサバンナ地帯22%、東北の乾燥地帯はカアチンガ(白い森)とよばれていて10%を占め、サボテンや、マメ科で刺のある種類の木が生えています。1年の降水量が0%なんて時もあるのですが、一端雨が降ると、たちまち緑が回復して花が咲き、後は雨が降らなくても果実が実ります。

沼沢地(しょうたくち)も、これだけで日本の本州くらいの大きさがあります。ここには浮草のホテイソウの仲間や、ロウヤシの仲間などが見られます。これは南部の湿地にしか生えないヤシで、葉からロウが取れます。現地ではインディオの名前でカランダと呼ばれています。

この沼沢地の珍しい動物では、カピバラという世界最大の齧歯(げっし)類やジャカレーという小型のワニなどが生息しています。

レスチンガという海岸地帯には、マングローブが広がっています。ここには支柱根を垂らした、さまざまな植物が生えています。マングローブの種類は東南アジアが一番多く、アメリカ大陸にはあまり種類はないのですが、アメリカヒルギという種が多く見られます。

南部にはパラナマツという、上方が傘上に広がる特殊な形のマツが多く生えています。これは日本のマツとは違い、ナンヨウスギ科で、20~30mにもなります。アラウカリア・アングスティフォリア(Araucaria angustifolia)という学名がついています。これは最初から傘形なのではなくて、20~30年たつとこうなるわけです。このマツには大きな松毬ができて、熱すのに約1年かかるのですが、中に400ぐらいの種が入っています。8cmくらいあるこの種は中身が栗のようで、おいしく食べられます。生ではだめですが、焼いて食べたり、塩ゆでにしたものをピニョーン栗といって売っています。この木は重要な建築材料としても使われています。

湿地にはブリチーヤシが群生しています。学名はモーリティア・ヴィニフェラ(Mauritia vinifera)といいます。高さは50mにもなり、葉を屋根ふきに使います。果実は食用になります。また、若い芽の花序から酒を作ります。viniferaは「ワインがとれる」という意味です。


インディオと植物

古くから伝わるインディオの習慣のなかの植物を紹介しましょう。

ジュニパッポというアカネ科の植物は、かなり広く分布していて、20mを越す大木になります。

花は白く、香りがとてもよいです。使用部分はこの果実で、インディオは、身体に入れ墨をする習慣がありますが、これには、未熟果の青黒い汁を使います。これは熟すと、果物としてもおいしく食べられます。小さいミカンくらいの大きさですが、その形が人のおっぱいに似ているので、日本ではチブサノキという名前がついています。

インディオがもう一つ同じように使うのが、ベニノキ科のベニノキ(Bixa orellana)です。

潅木で、刺のある(痛くは無い)実の中に、沢山の種子がはいっています。この表面(仮種皮)に、朱色っぽい赤の色素を含む物質(Bixin ビクシンカロチノイド)がついています。彼らは戦いに行く前に、これを使って体を真っ赤に塗ります。赤は血の色ですから、これを塗って興奮状態となり、気を奮い立たせるためであるようです。色素としては良質の染料用にはならないそうで、ブラジルではこれを他の澱粉に混ぜて食用紅として使っています。

次にブラジルの薬草をいくつか紹介しましょう。日本でおなじみのものもありますね。


同名別種

トコン(Cephaelis ipecacuanha)は、生薬名を吐根といい、広く知られていますが、ブラジル原産です。小さな樹でアカネ科に属します。

この分布域は多くの文献には、ただアマゾンの森林地帯としか記載されていませんが、本当は非常に限られた地域です。実際に、アマゾンよりも、むしろパラグアイ川の上流にあたる、マトグロッソ州の昼なお暗い原始林の中に生えていました。

トコンの使用部分は、数珠玉状になった根です。ポワエーロとよばれる採集人がいまして、彼らは全部取らずに必ず一部を残します。絶えてしまうのを防ぐためです。採取した根は乾燥させて、市場に出します。

このトコンは第二次世界大戦前までは、主にアメーバ赤痢の特効薬としてドイツが独占的に輸入していたのですが、合成薬ができたために、その後は染料として使っているのみです。

ところで、トコンのことを現地ではイペカクワニャといいますが、これはツピー語、つまりインディオの言葉です。東北の方に行きますと、これもイペカクワニャといわれて、同じ用途で使われている植物があります。ところが、これは、学名も全く違うスミレ科の木になる珍しい種類です。潅木というよりも、むしろ多年草に近いのですが、この根も同じように、数珠状をしています。

このように、場所によっては、全く違う植物が同じ俗名で呼ばれていることがあるのです。


ご存知ムイラプアマ

アマゾンで有名なムイラプアマ(Ptychopetalum olacoides)は、ボロボロノキ科という、日本では1種類しか見られない小さな科に属しています。主に精力剤として使われています。アマゾン下流のベレンという大きな町の薬草市場に中年の日本人などが行きますと、たいてい真っ先に店の人がこの薬草をすすめるわけです。薬草ドリンク剤にも「ムイラプアマ入り」を宣伝文句にしたもが多いです。でも薬草として売っているのは、乾燥させた、皮のない枝の部分で、生ものは市場では殆ど見られないので、その枝が果たして本物であるかどうか、よくわからないのが現状です。


ビタミン補給茶

マテチャ(Ilex paraguariensis)の大木になります。南米ではかなり古くから用いられていたようで、千年前のインカ帝国時代の墓から出土します。樹から枝ごと切り落とし、太陽で乾かすと発酵してしまうので、火で乾燥させます。その葉をお茶として飲みます。ガウチョとよばれるカウボーイは殆ど肉食なので、ビタミンCの補給に、特にこのマテチャを飲んだようです。カフェインも多く含まれていてます。ペルー、パラグアイ、ブラジル、アルゼンチンではとてもポピュラーな飲み物です。ひょうたんの中にお茶をつめて熱湯を入れ、さじとストローの合いの子のようなものを差し込んで、回し飲みする習慣があります。最近はインスタントのものもでています。


ピラルクの力

ガラナ(Paullinia cupana)というのは、アマゾン特有の植物で、ムクロジ科に属します。木性のつるで、よじのぼる形態をとります。実は赤く、その中の黒い種子を固めて、硬い棒(ガラナ棒)にします。これを粉にして薬用とするのですが、おもしろいやり方があります。

アマゾンには2m以上もあるピラルクという淡水魚が住んでいます。ちなみにこの魚は釣ることができないので、銛でついて殺します。ピラルクは大根おろしのような舌を持っており、これでガラナ棒を擦り下ろします。この粉を小匙1杯ほど飲むと活力がつくと言われ、強精剤、催淫剤として使われています。


ガンの特効薬?パフィア

パフィア(Pfaffia)はヒユ科で、種類がたくさんあり、ブラジルニンジンとよばれているものです(Pfaffia paniculata)。

よく知られてきたのは10年前ですが、インディオはずっと以前から使っていて、(コランゴ)corangoとよんでいます。パニクラータ種はその代表です。

パフィアにはヒユ科には珍しく、木性のつるになる種類もあります。プルヴェルレンタ(Pfaffia pulverulenta)は現地では、コランゴ・ヴェルードとよばれる種類で、地上を茎が這います。また、直立茎も出します。この茎は15mもありました。(十四頁上段)


薬草とよばれるもの

以上、ブラジルにはさまざまな植物があり、遠い昔からインディオが用いてきた伝統生薬を含めて、現地で使われている薬草とよばれる植物には、まだ成分が研究されていないものもたくさんあるのです。

その半面、なかには現代における研究の結果、特に有効な成分はないとわかったものもあります。でもそれはずっと以前からの習慣のなかに入り込んでいて、それだけに生活に密着しているものですから、これからも使われ続けていくでしょう。

そのような意味でも薬用植物とよばれるものは奥が深く、私にはとても面白いと思われるのです。


BOOK NEWS from MARUZEN

2168種フィールド『ブラジル産薬用植物事典』

60年に及ぶフィールドワークの集大成
佐竹元吉(国立衛生試験所生薬部長)
橋本先生はよわい80を迎えられたが、20歳の時に、志をもって渡伯された。この間、フィールドに立たれ、採集された植物標本は15万点を超える。この「橋本ハーバリウム」は世界的に貴重な財産である。この本はこれらの標本を元にした点、学名の移動などもきちんと整理した点が重要である。そして注目すべきは、2千以上の種類を薬用植物として括られた先生の視点である。これらの遺伝資源植物は、いまだに未知のものが多いから、興味ある多様な野生植物が続々と登場してくるに違いない。薬学や分類はもとより、資源植物を研究する人々の待望の著である。


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