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第七章 植物生態の不思議

第九六話 突然変異のはなし

突然、葉が金色に

キメ細かい観察こそが、新品種発見の近道
一枚の葉の突然変異から誕生したイワヒバの名品


園芸植物の品種改良は「突然変異」によるところが大きい。交雑に関係なく、親と違った新しい個体が生まれてくることで、ミューテーション(mutation)という。

いつか、地元千葉県の新聞に、古典植物のイワヒバを栽培している君津市の根本栄蔵さんが、新品種を見つけたという記事が紹介されていた。葉の形が垂れ下がり、全体が獅子の頭に似て、葉が美しい金色になる珍しいもので、「鏡獅子」と名付けたという。親の「長竜」を長年栽培していた根本さんは、ある日、金色をした、一枚の葉を見つけ挿し芽を繰り返し、5年かけてもの(固定)にした。古典植物愛好者から大きな拍手がわいたという記事である。まさに、立派な突然変異である。

私達日本人は、ものを見たときに、なぜか、どうしてか?と探るよりも、子細な観察に優れた資質を持っている。とりわけ、徳川時代の文化・文政の頃、園芸愛好の最高潮のころには熱心な園芸家による新品種誕生が多かった。久々に見事なイワヒバの新品種を突然変異により生みだした根本さんの体の中にも、先達の血が脈々と流れていたということであろう。

対照的に西欧では品種の発達が、交雑(ブリーディング=Breeding)、つまり遺伝的に違う形質をもつ個体の交配によるのが主である。ラン、バラ、チューリップなどが代表で、おびただしい数になる。

チューリップなど、これ以上の、花の下の長い品種は行きづまり、再び原点の野生種からやり直そう、といっているほどだ。

こんなわけで私は、西欧では交雑から新品種が生まれるのはごく当たり前、常識のように考えていた。

ところが、ある年の夏、スウェーデンの山奥に行って発見したことがある。針葉樹、コニファーのピセア・グラウカ(Picea glauca)の大木の一枝にミューテーション複数株を見たのである。固定した品種コニカ(Conica)として世界にひろまっている産品だ。

高さ10m前後もある大木の上の方をさして教えてくれたのは、案内してくれた持ち主のベルティル・ヒルメさんである。75歳のヒルメさんは実業家だが、コトネアスター(赤い実のなるバラ科の花木)の収集家として著名で、古くからの友人である。引退して、スウェーデン中南部のチベルストルプに約25haの山地を持ち、木こりをして余生を楽しんでいる、心の豊かさとゆとりのあるリッチな人だ。

コニカは形がいいので、日本でも使われている高級品種で値も高い。スウェーデンでの出合いの後、ハンブルグ郊外のコルデス社のバウムシューレ(植木の農場)へ行ったら、コニカの幼苗がポット栽培でたくさん作られていたのでびっくりした。

突然変異の原因は不明といわれているが、異常な高温、異常乾燥などが誘因とも考えられている。だから近年に多い異常気候が続くと出てくるかもしれない。植物自体が変異に敏感なことが原因としてより大切と思うけれど、キメ細かい観察を続ければ、新種作りは可能といえる。特に実生、枝、芽などの異常を鋭く見抜く眼力が必要だ。

四季咲き株立ちのバラが強度の剪定などが原因で、突然つる性に変わることがある。エックス線か放射能を当てて変わった観葉植物やバラを作り出すのも、一種の突然変異といっていい。

花木のカエデ、草花のアサガオなど突然変異の可能性を秘めているものはたくさんあるから、綿密な日常の観察からはじめてはどうだろう。

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